JRA 社台ファーム吉田照哉代表「絶賛の大物」デビュー勝利ならず……福永祐一「耳を絞ってムキになっていた」新種牡馬イスラボニータに早くも暗雲?
12日、中京競馬場で行われた5Rの新馬戦に、トゥードジボン(牡2歳、栗東・四位洋文厩舎)が出走。新種牡馬イスラボニータの産駒としてJRA初勝利が期待されたが、惜しくも3着に敗れた。
レースは10頭立ての芝1600m戦。好スタートを切ったトゥードジボンは、抑えて2列目の外を追走した。
騎乗した福永祐一騎手が、レース後「仕上がっていたけど、スタートで耳を絞ってムキになっていた」と話したように若干行きたがる素振りを見せたが、手綱を絞るとシッカリと折り合いがついた面は好評価できるだろう。
新馬戦特有のスローペースで1000m通過は1:00.6。3コーナーから4コーナーにかけて外から捲る馬もおり、トゥードジボンは前が壁になる形で直線に向いた。
直線に入って外に持ち出すとジリジリ伸びたが、先に抜け出したセリフォス、ベルクレスタを捉えきれず。善戦したが、惜しくも3着に敗れている。
福永騎手は「随所で若さを見せていましたが、素材はいいですからね。今日はいい経験になったと思います」とコメント。イスラボニータ産駒は札幌5Rにも2頭出走したが、5着、6着と勝利ならず。6日、東京1600mでも4番人気に推されたフルティージャが11着に惨敗している。
「牧場関係者の評価が高かったイスラボニータ産駒ですが、JRAの新馬戦が始まって4戦しましたけど勝ち馬は出ていません。もちろん、まだまだこれからだとは思いますが、トゥードジボンは社台ファームの吉田照哉代表が絶賛していた馬の1頭です。社台ファームの中でも高い評価を受けていた馬だけに、今回の敗戦にはガッカリだったかもしれませんね」(競馬記者)
吉田代表は『週刊Gallop臨時増刊 丸ごとPOG』(サンケイスポーツ)のインタビューで「この世代は全体で400頭ぐらいの生産馬がいるけど、その中でも上位のクラスに入ると思う」とトゥードジボンを評価。牧場期待の産駒がデビュー戦で3着に敗れたことは、確かに誤算だったかもしれない。
とはいえ、トゥードジボンはまだデビュー戦を終えたのみの2歳馬。今後の変わり身も見込めるのではないかと記者は話す。
「首を大きく使った走りは、父のイスラボニータに似ていますよね。福永騎手がレース後に『直線ではモタれていた』とコメントしたように、まだ本気で走れていないようにも見受けられます。走りからは十分に大物感も感じられましたし、一回使ったことにより次走は変わってくるかもしれませんね」(同)
吉田代表が「これは素晴らしいね」と絶賛したトゥードジボンだが、直線でのフットワークから能力の一端は垣間見えた。同馬も含め、今後のイスラボニータ産駒に注目したいところだ。(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
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