JRA「単勝227.3倍」ディープインパクト産駒が異例の挑戦! デアリングタクト撃破で史上最高額「5億5000万円」を生んだ立役者が1年でまさかの転身
2月に入り、何かとダート競馬の話題が増えてきた。2日に川崎競馬場で今年最初のG1である川崎記念が行われ、月末に開催されるフェブラリーS(G1)やサウジC(G1)のニュースも日が経つごとに多くなってきている。
そんな中で8日の佐賀競馬場では、交流重賞の佐賀記念(G3)が行われる。
出走予定のスワーヴアラミスがフェブラリーSへ回り、メンバーが若干落ちた感は否めないが、重賞連勝中のメイショウカズサなどJRA馬5頭がスタンバイ。地方からもスマハマ、グレイトパール、ランガディアといったJRAで実績を残した馬との共演が見られる楽しみな一戦だ。
ダートで好成績を残してきた馬が占める一方で、今回初めてダート戦に挑む馬もいる。芝で重賞2勝の実績を誇るディープインパクト産駒のギベオン(牡7歳、栗東・藤原英昭厩舎)である。
本馬といえば2018年のNHKマイルC(G1)で2着に入る活躍もあったが、最もファンの間で記憶に残っているのは昨年の金鯱賞(G2)で見せた激走だろう。
同レースは前年に無敗の三冠牝馬に輝いたデアリングタクトをはじめ、グローリーヴェイス、キセキ、ペルシアンナイトなど総勢4頭のG1馬が出走したレース。対するギベオンは18年の中日新聞杯(G3)優勝以来、計11戦も馬券圏内から外れており、単勝227.3倍の最低人気で中京の伝統重賞に挑んだ。
レースでは他の出方を見て、ハナへ。道中は平均ペースを刻むと、直線はラチ沿いを頼りにひと踏ん張り。デアリングタクトらG1馬の追撃を凌ぎ切る大金星を挙げ、WIN5史上最高額の5億5444万6060円を生んだ立役者となった。
この勝利で復活といきたいところだったが、その後は金鯱賞がフロックだったと思われても仕方ない低迷を再び見せている。
そして迎えた今回は、現在の苦境を打破すべくダート挑戦へ踏み切ったのだろう。しかし、ギベオンはダートの活躍馬が芝に比べて極端に少ないディープインパクト産駒だ。今回の挑戦は厳しいとの見方もあるが、他方で先月の東海S(G2)のケースから案外ハマるとの見方もある。
「先月の東海Sで、似た境遇のカデナが5着と健闘しました。プラス16キロと少々太め残りに見える馬体でしたが、直線ではメンバー最速タイの上がり3ハロンをマークし、ダート適性を示しました。
今回のギベオンですが、実はカデナと似た血統構成となっています。2頭ともディープインパクト産駒であるほかに、母の父がデピュティミニスター系なんですね。この構成はディープインパクト産駒で、ダート重賞を勝ったボレアスやアンジュデジールと同じです。
そして、何よりギベオンの母コンテスティッドは米国ダートG1を2勝した名牝です。母の血を色濃く継いでいれば、ダート適性は備わっているはず。面白い挑戦になると思いますよ」(競馬誌ライター)
鞍上は金鯱賞と同じ西村淳也騎手だ。大番狂わせを演じたパートナーと共に、今度はダートで下馬評を覆す走りをしてくれるか注目したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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