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JRA「小倉15時30分の男」が信頼度急上昇!?「やっぱりG1も取りたい」昨年レシステンシア敗戦で味わった「勝利の価値」

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浜中俊騎手

 騎手にとって、メインレースが開催される「15時30分」前後に、心身のピークを持ってくることは非常に大切だ。

 朝のレースで少々不甲斐なくとも、終わり良ければ総て良し。メインレースで活躍すれば、ファンや関係者の印象に残るし、賞金だってガッポリだ。M.デムーロ騎手や池添謙一騎手、レースの格が上がれば上がるほど勝負をかけてくるジョッキーは、日頃の勝ち星以上に強烈なインパクトを残す。

 12日、小倉競馬場で行われたメインレース・和布刈特別(2勝クラス)では、浜中俊騎手の5番人気ギブミーラブ(牝4、栗東・藤岡健一厩舎)が勝利した。昇級初戦ではあったが、鞍上の好騎乗もあって、連勝で準オープン入りを果たした。

 13頭立てのダート1700mで行われたレース。大外枠の12番からスタート後、道中は中団の外目を追走。3コーナー付近で徐々に外から押し上げると、4コーナーでは鞍上の激しいアクションとともに先行集団に取りつく。

 最後の直線に入った時にはすでに手応えに余裕はなく、そのまま失速していくかと思われたが、その後脅威の粘り脚を発揮。最後は内で押し切りを図ろうとしていた1番人気のタイセイシェダルを僅かに差し切り勝利した。

「返し馬が非常に良く、いい感触でした。前に乗った時よりバランスが良くなったと思いました。レースではブレーキをかけないようにして行って、こちらの思いに応えて、しぶとく持ち味を生かしてくれました」と、浜中騎手も会心の勝利に手応えを感じているようだ。

 浜中騎手は1月から始まった小倉開催を拠点に、今年の計5勝全てを小倉競馬場で挙げている。さらに、そのうち4勝がその日の11R、つまりは「メインレース」という驚異的な勝負強さを誇っている。出身が福岡県北九州市という事もあり、地元小倉では力が入るのは当然だが、それにしてもこの成績には驚きだ。

 かつては「ポスト武豊」と呼ばれ、その端正な顔立ちと力強い騎乗スタイルで人気を博し、12年には24歳の若さで年間リーディングを獲得した浜中騎手。しかし、そこをピークに成績は右肩下がりとなっており、近年では以前のような存在感は見られなくなった。

 そんななか昨年の高松宮記念(G1)では、突如大チャンスが訪れた。

 1番人気レシステンシアに騎乗予定だった武豊騎手が前週に負傷したため、急遽代役として浜中騎手に騎乗依頼が舞い込んできた。G1で1番人気への騎乗は、17年ヴィクトリアマイル(G1)のミッキークイーン以来、実に4年ぶりだった。

 突然の代打騎乗にも「結果を出したいという気持ちは強いです」と意気込み臨んだ一戦だったが、最後の直線で川田将雅騎手の2番人気ダノンスマッシュとの追い比べに敗れ、久々のG1制覇にあと一歩届かなかった。

「急な乗り替わりで期待に応えたかったのですが残念です」とレース後に悔しさを渗ませた鞍上は、改めて勝利の価値を痛感していたはずだ。

 この敗戦について今年1月、『中日スポーツ』で連載中の自身のコラムにて、今年の抱負を語るなか「やっぱりG1も取りたい。高松宮記念のレシステンシア(2着)など惜しいレースはありましたが、やはり競馬は勝たないといけません。いい馬と巡り合えた時に、結果を出せるジョッキーでありたいです」と振り返りながら、勝利への意欲を覗かせている。

 デビュー3年目にして、スリーロールスで菊花賞(G1)を制した若武者も、今年16年目の中堅といえる存在となった。自身のコラムでも語っているように、まだまだ強い熱意が胸に宿っている浜中騎手。得意の小倉開催で勢いをつけ、今年は大いに存在感を示してほしいところだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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