JRA岩田康誠が「コメント解禁」を予告!? 炎上騒ぎの“塩対応”に賛否も、関係者から評判急上昇の舞台裏
先週行われた3日間開催の主役は、何と言っても岩田康誠騎手だっただろう。
19日に皐月賞トライアルの若葉S(L)をデシエルト、20日はスプリングS(G2)をビーアストニッシドで制するなど、目下絶好調。距離やコースも異なる両レースで、いずれも1000m通過60秒8を刻んでの見事な逃げ切り勝ちはさすがといえる好騎乗だった。
一方、若葉Sの勝利騎手インタビューの受け答えには、ネットの掲示板やSNSなどで賛否が分かれることとなった。
このとき、岩田康騎手はインタビュアーの質問に対し「権利を取りましたね!」と言われたことに、「権利じゃないんです。勝つために来た(この馬に対する期待はそんなもんじゃない)」と、全て被せ気味に“訂正”から入る受け答え。
他の騎手なら、質問が多少自分の意図とズレていたとしても突っ掛からずに答えていたかもしれないが、普段の岩田康騎手を知る現場の記者からすれば、至って普通のやり取りだったという声も出ている。
「相手と自分に感覚や意見の違いがあった時に『そうですね』と流せなかったんでしょうね。本人的には『いや、この馬はこうやねん!レースの勝負どころはあそこやった』など細かく説明したいんです。
ただ、言葉にして伝えるのが苦手なので、身振りや手振り、擬音混じりになって相手にイマイチ伝わらないことも……。特にレース後は興奮しているので余計に言葉が出てこなかったり、詰まったりするんです。それが過去の新聞社や記者との因縁に繋がった事も否定できませんが……」(競馬記者)
また記者によると、その翌日には丸山元気や三浦皇成、横山武史などの後輩騎手から『岩田さん!権利取りましたね(笑)』と前日のインタビューをイジられていたそうだ。
「奇しくも2日連続で話すことになった本人も『炎上の岩田ですって言ったらみんな爆笑してたわ』と笑顔でしたし、(若葉Sを勝った)土曜の阪神でも中継後は笑いが起こるくらいで、(スプリングSを勝った)日曜の中山でも現場の雰囲気は和やかな感じだったそうです」(同)
誤解されやすいキャラクターではあるが、馬を作る技術は勿論、競馬に対しても愚直な程に真面目で。一から調教に乗って馬とコンタクトを取っているように、真摯に向き合っている。近年でもカツジやケイデンスコール、今年はダイナトニックなど、一度スランプに陥った馬が復活したのも、岩田康騎手の献身的なサポートの賜物だろう。
つい本音を言ってしまうことで、損をしているところはあるが、関係者は普段の仕事ぶりを知っているから憎めない上、結果も出すので信頼しているとのこと。月曜にも伏兵馬で1番人気の川田将雅騎手との叩き合いを制するなど、以前の勝負強さが戻りつつある印象だ。
今年は1着17回に対し、2着7回と数字的にもしっかりと勝ち切っている。一時は藤懸貴志騎手との一件で馬質がガクンと落ちたが、再び上昇気配で騎乗依頼も増えてきた。息子の望来騎手が活躍しているが、横山典弘騎手同様父として、まだまだ負けられない気持ちもあるはずだ。
「岩田康騎手ですが、ここ1年くらいJRAの公式インタビュー以外ではノーコメントを貫いてきましたが、これからは平場でも、そして勝っても負けてもコメントすると、急遽方針転換したらしいですよ。気持ちに余裕ができたこともメディア対応の雪解けに繋がったんでしょうか」(別の記者)
最近の岩田康騎手は人気馬に乗る機会も増えていたため、これにはメディア各社も歓迎していた様子。本人がコメントを出さない代わりに調教師や助手を探して聞いていたので助かるということだろう。
ただ、噂によると今のところは関東限定で、関西のメディアはもう少し先になりそうな雰囲気もあるが、それでも大きな前進には違いない。近い将来、また岩田康騎手の歯に衣着せぬ本音トークが聞けることに期待したいものだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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