
JRA大阪杯(G1)武豊「神騎乗」以外にも激走の裏付けあった!? アリーヴォ通用に前走騎手が太鼓判、「小倉巧者」が見せていた素質の片鱗
阪神競馬場で3日に開催された大阪杯(G1)は、単勝1.5倍の大本命に推されたエフフォーリアがまさかの9着に凡走。5連勝の勢いを評価された対抗筆頭格のジャックドールも5着に敗れる大波乱となった。
8番人気で大金星を挙げたのはポタジェ、2着に昨年の覇者レイパパレが入った2頭の馬単は3万9630円、3連単の払戻しも53万7590円という高配当。ハイペースが仇になった感のあるジャックドールに対し、見せ場すら作れなかったエフフォーリアの敗戦は今後も後を引きそうだ。
昨年の年度代表馬が屈辱的な敗戦を喫したレースで、存在感を見せたのは3着に食い込んだアリーヴォ(牡4、栗東・杉山晴紀厩舎)である。7番人気の評価ながら、勝ち馬とはクビ、ハナ差の惜敗。これには武豊騎手も「一瞬は勝てると思いました」と振り返ったほどだったが、ゴール前でもう一伸びを欠いた。
元々は、C.ルメール騎手が騎乗を予定していたものの、ドバイ帰りの騎乗を見送ったため、急遽代打として鞍上を任された武豊騎手。神騎乗を見せた競馬界のレジェンドは、「このメンバーでもやれる馬です」とパートナーの能力の高さに感心していた。
道中はエフフォーリアをマークするような位置から、ライバルの手応えの悪さを察してターゲットを前の馬に切り替える誤算もあった。前にいた馬で決まった展開が、結果的に逆風となってしまった。
ただ、ポタジェの勝利も衝撃だったこのレースで、アリーヴォの激走もまた見事だったことは間違いない。ここまで挙げた4勝すべてが小倉競馬場だったことも、小倉巧者というイメージが強まる原因に繋がった。やはり、平坦なローカルで好走していた馬が、直線に坂のある阪神で同じパフォーマンスを演じられるかどうかは、少なからず疑問視されたということだろう。
武豊騎手が騎乗していなければ、7番人気すらなかったかもしれないアリーヴォだが、過去の戦績を振り返るとそれほど驚けない事実もある。
デビュー2戦目となった一昨年12月の未勝利戦(阪神・芝2000m)で、既に大阪杯と同じ条件を経験。3着に敗れはしたが、このときの2着馬がジャックドールだった。11番人気で出走した菊花賞(G1)でも7着に入っており、距離延長が歓迎ではない血統背景を考えると、コース適性に大きな支障はなかったように感じられる。
年明けの2戦を小倉で連勝し、本格化の気配を見せたアリーヴォだが、特筆したいのは前走の小倉大賞典(G3)の走りだ。小回りの小倉芝1800m戦で8枠16番の大外という不利な枠が当たり、スタートから終始大外を走らされ続けるロスがありながら、2着馬に0秒3の差をつける快勝を演じたのである
「当時の小倉は芝の内側が傷んでいたため、多くの騎手が内を開けて外を回す競馬を選択していました。これは小倉大賞典も例外ではなく、最後の直線ではまるでアイビスサマーダッシュのような真ん中から外に横並びのコース取りとなりました。
そんなレースで外を回され続けたアリーヴォの距離ロスは、間違いなく全馬で一番だったでしょう。にもかかわらず、横山和生騎手がコメントした内容にヒントがありました。それが大阪杯で印をつけた理由です」(競馬記者)
そこで小倉大賞典の勝利騎手コメントを確認してみたところ、今になって思えば納得の言葉がズラリと並んでいた。

「いつも勝つ時はギリギリに見えますが、見ていて余裕のある勝ち方でした。こんなに離して勝てるとは思いませんでした。ハンデ戦とはいえ、重賞を勝ち切るというのは、勢いが本物だと思います」
あれだけロスの大きなレースをしていながらまだ余裕があり、騎乗した本人も想像以上のパフォーマンスだったことが伝わるコメントだ。大阪杯の好走をただの結果論で片付けてしまうにはあまりにも勿体ない。
今後はG1制覇も視野に入ってくるだけに、次走もぜひ武豊騎手とコンビ継続を期待したいところだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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