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JRA桜花賞(G1)武豊「完全燃焼」に絶賛の嵐! 安藤勝己氏「ハナ差を除けば完璧」痛恨2着も、「重要な2週間」は皐月賞(G1)ドウデュースへ

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ウォーターナビレラ 撮影:Ruriko.I

 10日、阪神競馬場で行われた牝馬クラシック第1戦・桜花賞(G1)は、7番人気のスターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)がハナ差の接戦を制して戴冠。3歳牝馬クラシック戦線の中心に躍り出た。

 その一方で、最後の最後で勝ち馬に差されてしまったのが、武豊騎手とウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。

 18頭立て、芝1600mのレース。抜群のスタートを決めたウォーターナビレラは、ハナを主張したカフジテトラゴンを行かせる形の2番手からの競馬。前走のチューリップ賞(G2)は馬群の中の競馬を試して5着に敗れたが、この日は本来の積極策で挑んだ。

 隊列はすんなりと決まり、前半600mは34.6秒のスローペース。迎えた最後の直線では、前を走っていたカフジテトラゴンを捉えるのに苦戦したが、内からナムラクレアが並びかけてきたところで持ち前の勝負根性を発揮。一気に逃げ馬を交わし切ると、ナムラクレアも競り落とし、ラスト50mで先頭に躍り出たが――。

「今週、来週は、ボク自身にとっても重要な2週間であると自覚しています」

 桜花賞前、6日に更新された公式ホームページで、そう決意を語っていた武豊騎手。「重要な2週間」の初週は弟・武幸四郎調教師と挑む桜花賞。当日は-14kgだったが「順調そのもの。出来は過去一番だし、あとは無事にレースに送り出すだけ」と話す陣営からは、この上ない勝負気配がうかがえた。

「追い風」も吹いていた。桜花賞が行われたこの日の阪神は、とにかく内を通った馬が有利な馬場コンディション。チューリップ賞で先着を許したナミュールやサークルオブライフといった強敵が外枠に嘆く中、ウォーターナビレラは3枠6番という絶好枠だった。

 さらに武豊騎手は前日のニュージーランドT(G2)で今年重賞2勝目を飾り、親交のある藤田晋オーナーに初の重賞をプレゼント。18年ぶりの桜花賞制覇を目論むレジェンドとしても「重要な2週間」で最高のスタートを切り、勢いを持って桜花賞へ挑んだ。

 だからこそ勝ちたかった桜花賞。しかし、ラスト50mで先頭に躍り出たのも束の間、外からスターズオンアースに強襲され、ハナ差交わされたところがゴールだった。

「状態は今までで一番良かったですね」

 レース後、武豊騎手はまず「出来は過去一番」と胸を張ってレースに送り出した陣営を称賛した。前週の大阪杯(G1)を3着した際は「勝ったと思ったけど」と悔しがったが、この日は「返し馬にゲート、ペースと思い通りでした」と、全力を出し切ったことを強調。「悔いのないレースができました」と前を向いた。

 この騎乗には、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「ハナ差を除けばユタカちゃんも完璧」と絶賛。またレースを見守ったファンからもSNSや掲示板などで「あれで負けたら仕方ない」「惜しかった」「今日は武さんの日じゃなかったね」など、完全燃焼した武豊騎手に好意的な声が寄せられている。

 すべてを出し切ったが、この日は勝ったスターズオンアースと川田将雅騎手が一枚上手だった。武豊騎手としても、2歳王者ドウデュースと挑む来週の皐月賞(G1)へ繋がる競馬だったのではないだろうか。

 気になるウォーターナビレラの今後だが、まだ正式な発表はない。既定路線ではクラシック第2戦のオークス(G1)だろうが、1400mのファンタジーS(G3)を勝っているスピード自慢だけに、マイル戦のNHKマイルC(G1)に進む可能性もありそうだ。

 いずれにせよ、春のG1戦線の主役の1頭であることを改めて証明したウォーターナビレラ。武豊騎手、幸四郎調教師の兄弟が並んでG1の表彰式を迎える日は、そう遠くないかもしれない。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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