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JRA横山和生「歓喜」の初G1制覇を裏開催で見守った横山武史……スランプ長引く“元主役”は何を思うのか

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タイトルホルダー

「一番強い馬」菊花賞馬が格の違いを証明した。

 1日、阪神競馬場で行われた天皇賞・春(G1)は、2番人気のタイトルホルダー(牡4、美浦・栗田徹厩舎)が優勝。伝統の長距離戦で2着ディープボンドに決定的ともいえる7馬身の差をつけて2勝目のG1タイトルを手に入れた。

 初G1勝ちとなった昨秋の菊花賞(G1)を5馬身差で楽勝した思い出の地。再び巡ってきた仁川の長距離は負けられない舞台でもあった。

 奇しくもこの「7馬身差」は、父・横山典弘騎手が2004年にイングランディーレで天皇賞・春を制した着差と同じ。大波乱を演出したあの勝利から18年後に長男が制覇。祖父・横山富雄・元騎手から数えて横山家としても三代に渡る春の天皇賞制覇を成し遂げた。

「逃げたときに全勝」しているタイトルホルダーにとって最大のカギはスタート。発表された枠順こそ8枠16番という不利な外だったものの、横山和生騎手のパートナーへの絶対的な信頼は揺るがない。

 スタートを決めると、迷わず「押して押して」先頭を奪いにいく強気な競馬でライバルを迎え撃つ。前半1000mを60秒5で通過すると、折り返しの中盤を12.8-13.3-12.9に落として息を入れる冷静さも光る。ここでしっかりと溜めを作れたことが、ラスト5Fでも60秒3で駆け抜ける原動力となった。ここまで完璧な山型ラップを刻まれては、後続がなすすべもなく敗れたことも納得だ。

「とっても嬉しい。返し馬で馬の雰囲気の良さは感じていたので、タイトルホルダーの力を僕が信じて邪魔をしないようにと思いながら乗りました」

 会心の勝利に横山和騎手もシンプルな喜びのコメント。勝利騎手インタビュー内でも自身のG1初勝利より、まだまだこれから良くなる余地が残っていると、最愛のパートナーへの応援を呼び掛けた謙虚さも好感を持てる内容だった。

「もし2番手や3番手に控えるようなら危ういと考えていましたが、スタートから先手を主張した姿を見てほぼ勝利を確信しました。和生騎手には迷いがなかったですね。道中のペース配分まで菊花賞の再現といえるようなラップで驚きました。

この内容なら辛口の父からでも100点どころか120点くらいもらえるんじゃないでしょうか(笑)。菊花賞の武史騎手も素晴らしいペース配分でしたが、これはもう横山家のDNAがなせる業ですかね」(競馬記者)

 ただ、初G1の美酒に酔った昨年の菊花賞との決定的な違いがあるとすれば、タイトルホルダーの背にいたのが三男の武史騎手ではなく長男の和生騎手ということだろう。

 先にブレイクした弟から引き継いだG1馬を任せられたプレッシャーは、かなりのものだったはずだが、最高の結果を残した。今年は兄のブレイクがすでに始まっているのかもしれない。

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横山武史騎手

横山和生「歓喜の初G1」を裏開催で見守った横山武史

 その一方、そんな兄とは対照的な苦戦を続けているのが弟の武史騎手だ。

 勝ち負けの期待できる有力馬を複数揃えていた今春のG1を5連敗。昨年暮れの有馬記念とホープフルSでG1を連勝したときとは、まるで別人のように低迷している。

 この日も裏開催となった東京競馬場のメインレース・スイートピーS(L)で3番人気ローブエリタージュに騎乗するも4着。今年の重賞勝ちもチューリップ賞(G2)のナミュールのみと、波に乗れていない。

 横山家としては喜ばしい長男のG1制覇だが、長いトンネルから抜け出せないでいる武史騎手としては心中複雑だろう。

 有馬記念で和生騎手とタイトルホルダーのコンビが発表されたときには、「棚ぼた」「おこぼれ」という声も出ていたが、前走の日経賞(G2)に続いてG1制覇まで成し遂げた今となっては、むしろ「和生でよかった」ということにもなりかねない。

 おそらく兄の「神騎乗」をモニタ越しに見ていたであろう武史騎手は、「譲った馬」で勝利騎手インタビューを受ける兄の姿をどのような想いで見守っただろうか。

 これからも続くG1シーズン。昨年のブレイクで掴んだチャンスを逃がさないためにも、存在感をアピールしたいところだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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