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JRAタイトルホルダーはヒシミラクル型、それともキタサンブラック型? 菊花賞→天皇賞・春→宝塚記念のG1・3連勝へ高い壁

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タイトルホルダー 撮影:Ruriko.I

 週末はいよいよ注目の宝塚記念(G1)。今年は昨年のJRA年度代表馬エフフォーリア、大阪杯を制したポタジェ、天皇賞馬タイトルホルダー、牝馬三冠馬デアリングタクト、ドバイターフを勝ったパンサラッサといった5頭のG1馬が登場。さらにステイフーリッシュ、オーソリティ、ディープボンド、ヒシイグアス、アリーヴォといった実力馬が揃い、春のG1シリーズを締めくくるグランプリにふさわしいメンバーとなった。

 注目を集めるのはオグリキャップを抜き、ファン投票で歴代最多得票数を集めたタイトルホルダーだろう。菊花賞(G1)と天皇賞・春(G1)を制し、今回は1番人気が見込まれる同馬だが、果たしてこの宝塚記念も勝利することができるのだろうか。

ヒシミラクル型、それともキタサンブラック型?

 前年の菊花賞馬が、翌年に天皇賞・春と宝塚記念を勝利した例は意外に少ない。グレード制が始まった1984年以降、1993年の菊花賞馬ビワハヤヒデ、2002年の菊花賞馬ヒシミラクル、2005年の菊花賞馬ディープインパクトの3頭だけだ。メジロマックイーン、マヤノトップガン、ゴールドシップなど別の年にそれぞれのレースを制した例はあるが、古馬になってすぐに天皇賞・春と宝塚記念を制した菊花賞馬はこの3頭のみである。

 最近でもキタサンブラックが菊花賞と天皇賞・春を制しながら宝塚記念は3着に敗退し、惜しくもその偉業に手が届かなかった。それほどまでに高いハードルなのである。

 今年、2006年のディープインパクト以来の偉業に挑むタイトルホルダーは、見事勝利を収めた前例と同じタイプなのか。それとも敗退したキタサンブラックと同じタイプなのか。馬券検討においても重要な要素であり、じっくりと検証してみた。

 まず過去の勝ち馬3頭を見てみると、ビワハヤヒデとディープインパクトはクラシックに参戦し、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)で2着と1着。ヒシミラクルは夏の上がり馬で、皐月賞と日本ダービーには出走していない。ちなみに勝てなかったとはいえ、宝塚記念3着だったキタサンブラックも皐月賞で3着。宝塚記念とコース形態が近い皐月賞の好走実績は、かなり重要な要素と言えそう。タイトルホルダーは皐月賞で2着の実績があり、その点はクリアしている。

 次に前述の3頭はすべて関西馬で、阪神・芝2000mの条件で勝利実績があった。なおキタサンブラックは関西馬だが、阪神・芝2000mは2着のみで未勝利。そしてタイトルホルダーは関東馬で、阪神・芝2000mは勝利実績どころか出走経験がない。阪神コースの菊花賞、天皇賞・春を勝利しているとはいえ、コースは別物であり、ここは大きくマイナスだ。

 また宝塚記念を勝利した3頭とキタサンブラックの大きな違いは「G1の大阪杯」だ。ビワハヤヒデ、ヒシミラクル、ディープインパクトの3頭がいた時代、そしてキタサンブラックの4歳時の挑戦は、大阪杯がG1ではなかった。

 ゆえに前哨戦(阪神大賞典や京都記念などのG2)を挟んで天皇賞・春に出走しているが、5歳のキタサンブラックは大阪杯→天皇賞・春→宝塚記念というG1を3ヵ月に3戦というローテーションで挑んでいる。

 天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念もG1を2ヵ月に3戦というローテーションでその過酷さが知られているが、G1の負担はG2とは比較にならないということだろう。大阪杯と天皇賞・春を使ったキタサンブラックは、宝塚記念でまさかの9着に敗れている。タイトルホルダーは大阪杯を使っていないので、その分の負担は大きくなさそうだ。

 脚質を見てみると、タイトルホルダーは全5勝が逃げてのもの。キタサンブラックも脚質は近く、天皇賞・春を逃げて勝利しているが、宝塚記念は逃げて粘ることができなかった。今回は逃げ宣言のパンサラッサ、同じく逃げ馬のアフリカンゴールドなどが揃って速い流れが見込まれている。タイトルホルダーにとって未体験の流れになることも考えられ、これまで控えて勝利したことがない。

 ここまでの内容を整理すると、タイトルホルダーは「皐月賞2着、ローテーション」というプラス要素はあるものの、「阪神・芝2000mのコース実績、関東馬、逃げ馬」というマイナス要素が揃う。これらを鑑みると、今回のタイトルホルダーは一歩足りず、スムーズな競馬でも2~3着までと予想。残念ながらヒシミラクルのような結果を望むのは難しく、キタサンブラックのようにあと一歩のレースになりそうだ。

(文=仙谷コウタ)

<著者プロフィール>
 初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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