JRA凱旋門賞(G1)武豊ドウデュースに「想定外」の大誤算!? 現役最強に名乗り、タイトルホルダーにあって「惨敗組」になかったものとは

26日、阪神競馬場で開催されたグランプリ・宝塚記念(G1)は、2番人気タイトルホルダー(牡4、美浦・栗田徹厩舎)が2分9秒7(良)で圧勝。それも2着ヒシイグアスに2馬身差をつけただけでなく、これは2011年にアーネストリーがマークした2分10秒1を0秒4も更新するスーパーレコードだった。
ハイラップで飛ばすパンサラッサを先に行かせて2番手を抜群の手応えで追走。最後の直線で楽に抜け出す圧勝劇を演じられては、敗れた陣営から「追走するのが精一杯だった」という声が出たのも無理はなかったか。
グランプリを制覇したことで現役最強馬の座を手に入れた陣営は、横山和生騎手の続投で秋の凱旋門賞(仏G1)への挑戦を表明。経験豊かな外国人騎手ではなく、売り出し中の日本人騎手を起用するあたりも心憎い演出のようでありながら、パートナーを完全に手の内に入れた鞍上に対する信頼の証だろう。
「世界は甘くないと思いますが一緒に頑張って僕も成長しなきゃなと思います」
世界最高峰といわれる舞台への挑戦が決まった和生騎手だが、少し前までは弟の武史騎手のブレイクに隠れてさほど目立たない存在だった。再び日のあたる場所へ導いてくれたタイトルホルダーに対する思い入れは相当に強いはずだ。

武豊ドウデュースに「想定外」の大誤算!?
その一方で、タイトルホルダーの圧勝に戦々恐々としているのが、先に凱旋門賞挑戦を宣言したドウデュースの陣営かもしれない。
斤量面で有利な3歳馬とはいえ、レース後に武豊騎手が「結果的に後ろ過ぎた」と悔いた皐月賞(G1)で3着。巻き返しに成功した日本ダービー(G1)の優勝も、お世辞にも圧勝とは言い難い内容だった。
どちらかというと日本を代表するレジェンドである武豊騎手の夢を応援する意味合いが強く、ディープインパクトで挑んだときの期待感に比べると見劣ってしまうのは確かだ。
これに対し、タイトルホルダーが春2戦で見せたパフォーマンスはファンの想像をはるかに上回るものだった。
2番人気の評価だった天皇賞・春(G1)を7馬身差で楽勝して有り余るほどのスタミナを証明。宝塚記念では芝3200mから芝2200mに距離が短縮することも不安視されて再び2番人気に甘んじたが、蓋を開けてみればレコード勝ちの連勝には驚くばかり。
スタミナ一辺倒のステイヤーが嫌われる種牡馬としての評価に、スピードも一流であるプラスアルファも加えることに成功したことは、これから先を考えると非常に重要な意味を持つ。
スピード特化タイプのパンサラッサやスタミナ特化タイプのディープボンドが苦戦を強いられた宝塚記念の結果を見ても、両方を併せ持ったタイトルホルダーの強さは一線を画したパフォーマンスだった。
そしてこれは近年の凱旋門賞で惨敗した日本馬らにはなかったものだ。
2013年の2着オルフェーヴルを最後に毎年のように欧州の厚い壁に跳ね返され続けているが、これ以降に挑戦した馬で長距離を楽勝できるスタミナと中距離をレコード勝ちするようなスピードのあった馬はいない。
母系には1999年の凱旋門賞馬モンジューの血も流れているタイトルホルダー。血統的にもドウデュース以上に凱旋門賞への適性を期待できる馬といえるだろう。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
PICK UP
Ranking
5:30更新
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
【香港C(G1)展望】BC制覇の偉業から1か月、ラヴズオンリーユー有終の美へ!レイパパレはC.スミヨンと新コンビ、最大のライバルは最高レーティングの英国馬
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- JRA調教師の目標は「餌やり」からの卒業!? 競馬界の「影の王」ノーザンファーム外厩大成功に存在意義ズタズタ……
- 四位洋文騎手が「トラウマ」嘆く……武豊騎手も不快感を露にした昨年「マイルCS」ディサイファの悲劇
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- エリザベス女王杯「単勝430.6倍」大激走に19歳ジョッキーも「本当に信じられません」。 武豊1番人気がまさかの結末で生まれたJRA・G1最高配当【競馬クロニクル 第30回】
- 「死活問題」発生に競馬YouTuberが絶滅の危機!? 突然の動画削除にファンも動揺…… チャンネル配信者らに何が起こったのか
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
関連記事

JRA「実質最下位」シャフリヤールにアウェーの洗礼…武豊の夢にも立ちはだかる障害、「タイムトライアル」慣れした日本馬の課題も浮き彫り

JRA「凱旋門賞は必ずしも最高峰ではない」ノーザンファーム関係者が衝撃発言!? シャフリヤールが挑むアスコット競馬場に日本競馬と「意外」な関係

JRA武豊ドウデュースも戦々恐々!? 日本が誇る怪鳥エルコンドルパサーを打ち砕いた欧州最強馬の衝撃……英仏ダービーの圧勝劇で蘇る23年前の「悪夢」

JRA武豊も「異論」なしの凱旋門賞に賛否の声!? エルコンドルパサー、オルフェーヴルと何が違うのか…是非を問われる陣営の判断

JRA武豊「凱旋門賞の夢」遠のいたダービー!? オグリキャップVSホーリックスの衝撃から33年…日本競馬の「迷走」も浮き彫りに















