JRA「凱旋門賞は必ずしも最高峰ではない」ノーザンファーム関係者が衝撃発言!? シャフリヤールが挑むアスコット競馬場に日本競馬と「意外」な関係
日本時間15日深夜、イギリスのアスコット競馬場では第129回プリンスオブウェールズS(G1、芝1990m)が開催される。5頭立てという少頭数になった今年は、日本からシャフリヤール(牡4歳、栗東・藤原英昭厩舎)が参戦する。
日本馬の同レース参戦は2019年以来、3年ぶり。過去には15年スピルバーグ(9頭立て)、16年エイシンヒカリ(6頭立て)、19年ディアドラ(8頭立て)の3頭が挑んだが、いずれも6着に敗れている。今年は5着以上が約束されているとはいえ、苦戦した過去から「鬼門レース」といえるだろう。
その理由の一つがアスコット競馬場のコース形態にある。
コース形状は三角形の「おむすび型」で、コース1周がなんと約2800mという広さを誇る。プリンスオブウェールズSが行われる1990mのコースは、スタートしてすぐに下り坂が続く。スウィンリーボトムと呼ばれる最も低い地点の最初のコーナーを過ぎると、待ち構えるのがゴール手前1ハロン地点まで延々と上り坂である。最後の直線は約500mで、これは東京競馬場とほぼ同じだ。
最も特徴的なのが22mという高低差。JRAで最も大きい高低差を誇る中山競馬場の約4倍というから驚きだ。過去にこのコースを走った日本馬も、この高低差と深い芝にスタミナを奪われてきた。
これまでアスコット競馬場の中長距離戦で最も健闘した日本馬といえばハーツクライだろう。06年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドS(G1、芝2400m)に出走し、僅差の3着に好走している。
「前年の有馬記念(G1)でディープインパクトに土をつけ、続くドバイシーマC(G1)を完勝。ハーツクライはまさに絶頂期を迎えていました。大きな期待を背に直線で見せ場もつくりましたが、ゴール直前で失速。ゴールにたどり着いたときは“ヘロヘロ”状態だったと思います。
距離は1990mですが、シャフリヤールはキレを持ち味とするだけにこのコースが合うかどうか……。5頭立てとはいえ、手強いメンバーがそろいましたし、厳しい戦いを強いられるのは間違いないでしょう」(競馬誌ライター)
ただし、そんなレースだからこそ挑戦する価値もある。
アスコット競馬場に日本競馬と「意外」な関係
シャフリヤールに帯同しているノーザンファームしがらきの松本康宏場長は現地での共同取材で、今回のレース選択について、このようなコメントを残している。
「凱旋門賞を最高峰だと思っている人が多いようですが、種牡馬になる馬を選ぶ最高のレースの多くはイギリスにあると思っています」
松本氏、つまりノーザンファームとすれば、すでにG1を2勝しているシャフリヤールの種牡馬としての将来を見据えて、敢えてイギリスのレースを選び、付加価値をつけようという考えなのだろう。
もしシャフリヤールが日本馬にとっての「鬼門レース」を克服できれば、ダービー、ドバイシーマCに次いでG1・3勝目。これは同世代の牡馬ではエフフォーリアに並ぶ最多となる。
2018年生まれのこの世代はすでに「エフフォーリア世代」として定着しており、今後もそう呼ばれる可能性は高い。それでも、両馬の今後のパフォーマンス次第では、「シャフリヤール世代」に変貌を遂げても不思議はない。
世代を代表する日本ダービー馬として、そして自身の将来のためにも落とせない重要な一戦となりそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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