
JRAレシステンシアに起きた元・主戦騎手との「運命」の交差…すれ違いの骨折判明で「最後の秋」の出走は

先月30日、安田記念(G1)で11着に敗れたレシステンシア(牝5歳、栗東・松下武士厩舎)が左前第1指骨を骨折していることが明らかになった。
レシステンシアは3歳時のNHKマイルC(G1)の後にも剥離骨折による長期休養を経験しており、今回はそれ以来の故障発生。今春は高松宮記念、ヴィクトリアマイル、安田記念とG1を3戦しており、馬体へかかる負担も大きかったのかもしれない。
近日中に骨片を摘出する手術を受けるようで、全治は3か月程度かかる見通し。復帰は早くても10月頃と考えられることから、10月2日に行われるスプリンターズS(G1)への出走は不透明な状況となった。
3歳になってから、実に5度にわたりG1で2着を経験しているレシステンシア。今春はG1で満足のいく結果が残せなかっただけに、秋には阪神ジュベナイルフィリーズ以来のG1タイトルを獲得すべく陣営も決意を新たにしていたはずだ。その矢先の骨折の判明には、失意に暮れていると思われる。

一方でこの陣営の失意と同様に、レシステンシアの怪我を憂いているかもしれない騎手がいる。それこそが北村友一騎手である。
北村友騎手はレシステンシアが2歳の頃から騎乗しており、ファンタジーS(G3)、阪神JFを勝利。その後のチューリップ賞(G2)の敗戦を機に一度は降板となったが、3歳秋のマイルCS(G1)で再びコンビを結成。翌年の阪急杯(G3)ではレシステンシアを約1年3か月ぶりの重賞制覇に導いた。
続く高松宮記念では北村友騎手が海外遠征のために騎乗できずに乗り替わりとなったものの、その後もコンビでの更なる飛躍が期待されていた。しかし、その年の5月、北村友騎手が落馬による大怪我を負ってしまう。先月復帰を遂げるまでの約1年1か月の間、主戦騎手を失ったレシステンシアの鞍上は固定されず、武豊騎手やC.ルメール騎手などが代わる代わる手綱を握ってきた。
今春に臨んだ3つのG1レースでは横山武史騎手を背に臨んだレシステンシア。しかし、いずれも思うように結果は残せず。特に1番人気に支持された高松宮記念では、暴走気味ともいえるハイペースで逃げを打ったことが裏目に出てしまい、期待を裏切る6着に惨敗してしまった。
この3戦をみても、横山武騎手と手が合っていたとは言い難かったレシステンシア。そうした状況で、かつての主戦・北村友騎手が復帰を遂げたこともあり、秋には再コンビ結成の可能性もあったはずだ。
すれ違いの骨折判明で「最後の秋」の出走は…
そんな中での故障の発生。レシステンシアのスプリンターズSへの出走は厳しいと言わざるを得ない状況であり、マイルCSや暮れの香港国際競走への参戦も不透明となってしまった。
キャロットファームの規定で来年3月までの引退が既定路線であるレシステンシア。2歳時以来のG1タイトルの獲得が最大目標であったはずだが、最後の秋はレースに臨むことすら叶わないかもしれない。
北村友騎手としても、秋のスプリンターズSが復帰後初のG1騎乗のチャンスだ。長く戦列を離れていただけに、G1戦線復帰へ夏競馬でのアピールに燃えているはず。そうした中で、かつて主戦を務めたレシステンシアは騎乗できる可能性があった有力馬だけに、故障発生にはショックを受けているに違いない。
人馬の怪我のタイミングで、“すれ違い”が起きてしまったレシステンシアと北村友騎手。レシステンシアが順調に回復すれば、年末のG1に間に合う可能性はまだ残されている。果たしてレシステンシアの復帰、そして北村友騎手との再コンビ結成は叶うのだろうか。
暮れの大舞台では、怪我を乗り越えた人馬の復活劇に期待をしたい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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