JRA「人気薄の武豊」が新トレンド!? 昨年の複勝回収率226%、函館開催で魅せる神騎乗「キャラ変」したレジェンドに新境地
9日、函館競馬場で行われたマリーンS(OP)は、横山武史騎手の6番人気フルデプスリーダーが優勝。前走の大沼S(L)では10頭立ての8着に惨敗していたが、レース後に「思い描いた通りの競馬ができました」と語った鞍上の言葉通り、同舞台で見事な変わり身をみせた。
「惜しかった」
その一方で、悔しさを滲ませたのは2着ウェルドーン(牝4、栗東・角田晃一厩舎)に騎乗していた武豊騎手だ。
最後の直線で抜け出した際は勝利目前と思われたものの、ゴール手前で僅かハナ差だけ交わされたのだから悔いが残るのも当然か。
それでも、同馬は前走のエンプレス杯(G2)から4か月の休み明け、馬体重プラス18キロ。7番人気の低評価だったことを考えると大健闘と言えるだろう。
14頭立てのダート1700mで行われたレース。ウェルドーンはスタートを決めるとダッシュ良く外目の2番手を追走する。
淀みない流れのなか、4コーナーで鞍上がGOサインを出すとラストスパートを開始。逃げたロードエクレールに並ぶような形で最後の直線に入ると、残り200mで先頭に躍り出る。
このまま押し切れるかと思われたが、ゴール手前で外から迫ってきたフルデプスリーダーに捕らえられ惜しくも2着。昨年6月以来となる久々の勝利とはいかなかった。
「直線半ばでは勝ったかと思いましたが、それでも近2走の不振を考えれば見事な走りでしたよ。ウェルドーンは初勝利まで6戦を要した遅咲きですが、昨年のジャパンダートダービー(G1)で3着した実績もあります。今回はハンデ53キロの恩恵はあったものの、休み明けながら牡馬の骨っぽいメンバー相手に好走できたことは今後の自信にも繋がると思います。秋以降も楽しみですね」(競馬誌ライター)
当然、馬自身のポテンシャルが高かったことも激走の理由として挙げられるが、主戦である武豊騎手の手綱捌きもまた見事だったといえるだろう。
同舞台で行われた3Rと8Rでは、4コーナーで4番手以内にいた馬たちで3着内を独占する、いわゆる前残り馬場。そのなかで、決してスタートが上手いとは言えないウェルドーンで果敢に2番手につけた判断は、8Rで後方から成す術なく敗れた鞍上だからこそできた思い切った先行策だったのかもしれない。惜しくも2着に敗れたとはいえ、好騎乗が光る内容だった。
「人気薄の武豊」が新トレンド!?
元々、騎手人気が先行するジョッキーのため、人気薄での激走があまりイメージにないかもしれないが、昨年の函館開催でも度々穴をあけていた武豊騎手。昨年7月~8月の間に単勝20倍以上の穴馬に騎乗した際は「0-2-4-8/14」と勝利こそなかったが、複勝率42.9%、複勝回収率226%と驚異的な数字を残していることを忘れてはならない。
また、6月から始まった今年の函館開催においても、先週2日に行われた芝1200mの長万部特別(1勝クラス)で、単勝29.2倍と低評価だったラキエータにテン乗りして快勝。そして、この日のウェルドーンの激走と考えると、再度穴をあけるシーンがあってもおかしくなかったが、翌日10日に行われた五稜郭S(3勝クラス)でも、8番人気のフィオリキアリで見事1着となっている。
来週の16日と17日をもって最終週となる函館開催。例え人気薄であろうと、レジェンドの騎乗馬から目が離せない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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