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エピファネイア産駒最初の大物「幻の菊花賞馬」が復活

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 今週末からいよいよ夏の新潟競馬がスタート。31日のメインレースには新潟名物の千直重賞・アイビスサマーダッシュ(G3)が組まれている。

 その1つ前の10Rは、芝2000mの外回りを舞台に佐渡S(3勝クラス)が行われるのだが、このレースで一昨年7月以来、約2年1ヶ月ぶりの復帰を予定しているのがロールオブサンダー(牡5歳、栗東・橋口慎介厩舎)だ。

「幻の菊花賞馬」が復活

 父エピファネイアの初年度産駒である同馬は、2019年7月に中京芝2000mをデビュー勝ち。続く紫菊賞(1勝クラス)も連勝し、京都2歳S(G3)ではマイラプソディの3着に好走したことで一躍クラシックの有力候補となった。

 年明け初戦は京成杯(G3)を選んだが、ここで初めて掲示板を外す7着に敗戦。日本ダービー(G1)への出走権を懸けて挑んだ青葉賞(G2)も同じく7着に終わったことで、春のクラシックを断念している。

 目標を秋へと切り替えたロールオブサンダーは、青葉賞から約2ヶ月後に兵庫特別(2勝クラス)に出走。マイペースの逃げの手に出ると、今年の天皇賞・春(G1)でも4着に健闘したヒートオンビート以下に9馬身以上の差をつける圧勝劇を演じた。

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福永祐一騎手

 このレースで初コンビを組んだ福永祐一騎手はレース後、「やはり能力は高いですし、自分の形に持ち込めば強いですね」と絶賛。管理する橋口師も「この後は神戸新聞杯(G2)から菊花賞(G1)を目指します」と意気込んだのも当然だろう。

 しかし、それから約1ヶ月後、ロールオブサンダーは右前脚の屈腱炎が判明してしまう。陣営は「相当、時間がかかると思います」と肩を落とし、無念の長期離脱を余儀なくされることになった。

「兵庫特別は菊花賞で3着に好走したビートブラックやバンデを輩出している隠れた出世レースでもあるため、ロールオブサンダーはSNSやネットの掲示板などで一部のファンから『幻の菊花賞馬』とも言われていますね」(競馬誌ライター)

『日刊ゲンダイ』のTwitterによると、競走能力喪失の寸前にまで陥っていたというロールオブサンダーだが、多血小板血漿(PRP)治療を経て治癒し、復帰にまで漕ぎ着けたようだ。

 このPRP治療とは一体どういうものなのか。以前『netkeiba.com』のコラム『第二のストーリー』に掲載された鈴木伸尋調教師のインタビューによると、「まず馬自身の血液を採って遠心分離をして血小板だけを残します。血小板は血液を凝固させて傷を修復させる働きがありますので、それを患部に入れて修復を促すのです」とある。

 この施術を2回受けたことにより、同厩舎の管理馬で屈腱炎により引退したトモジャポルックスは、いまでは故障箇所がほとんど修復されているのだという。

「PRPは人に対しても行われており、2014年には当時ニューヨーク・ヤンキース、現楽天イーグルスの田中将大投手が右肘の故障を発症した際に受けたことでも話題になりました。

また、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手も右肘靭帯の部分断裂が判明した18年に同治療を行っています」(同)

 そんな先進医療を受けて見事に復活を果たそうとしているロールオブサンダーに好勝負も期待したいが、ブランクが長いだけに、まずは無事にレースを終えてくれることを願わずにはいられない。

 まだ5歳でキャリア6戦と、伸びしろはたっぷり残されているだろう。父エピファネイアには早熟説も流れているが、最初の大物ともいえる本馬がゆくゆくはそれを覆してくれることにも期待したい。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
 キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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