「絶好調」戸崎圭太が直面した怪物候補の相次ぐ降板
「今年もリーディングを獲ることができて、嬉しく思います」
先週末、そう喜びのコメントを残したのは、昨年に続き夏の福島開催でリーディングを獲得した戸崎圭太騎手だ。
かつてはC.ルメール騎手や川田将雅騎手らを退け、2014年から2016年まで3年連続で全国リーディングを獲得した名手でもある。ところが2017年に王座から陥落すると、その後は成績も右肩下がりになっていった。
2020年には全国19位にまで落ち込むほど深刻な状況だったが、昨年は若手ホープの横山武史騎手や岩田望来騎手には及ばずとも7位に奮闘。再び全国リーディングトップ10に名を連ねた。
今年に入っても好調は続き、現在は全国リーディングでも川田騎手や横山武騎手に次ぐ3位。先週終了した福島開催でも勝利を量産するなど、名手が再び輝きを取り戻しつつある。
そんな復調気配の戸崎騎手に、痛恨といえる知らせが舞い込んだ。なんと昨年の日本ダービー(G1)でコンビを組んで4着に入ったグレートマジシャン(牡4、美浦・宮田敬介厩舎)が、30日に新潟競馬場で行われる関越S(OP)で、福永祐一騎手を新たな鞍上として迎えるというのだ。
怪物候補の相次ぐ降板
同馬と言えば、昨年の毎日杯(G3)ではレコード勝ちしたシャフリヤールに次ぐ2着に好走。続く日本ダービー(G1)では再度シャフリヤールの4着に敗れたとはいえ、世代トップクラスの実力馬としてその後の活躍にも期待が高まる存在だった。
その後は右前脚の故障により長期離脱を余儀なくされたものの、昨年のダービーから1年以上の時間を掛けて待望の復帰が決まったばかり。戸崎騎手としても待ち遠しい相棒の復活だったに違いない。
だが、唐突にも思われる今回の乗り替わりだが、それを思わせる伏線は既にあった。
戸崎騎手と宮田厩舎のコンビといえば、今年のダービー馬候補として注目されていたドゥラドーレスもいるが、ダービー出走に賞金加算が至上命題だった毎日杯(G3)でまさかの3着に敗戦。レース後にも、「人気に応えられず、申し訳ありませんでした」と悲痛なコメントを残すことになった。ところが、次走のホンコンJT(2勝クラス)では、こちらも福永騎手に乗り替わりとなっていた経緯もある。
ドゥラドーレスだけでなくグレートマジシャンといった、どちらもダービー馬候補と目された逸材2頭がともに福永騎手に奪われてしまう形になったのだから、戸崎騎手としても心中穏やかではないだろう。
ちなみに同レースでは、グレートマジシャンと同世代のキングストンボーイに騎乗する戸崎騎手。相次ぐ大物候補の乗り替わりに悔しい思いもあるなか、一矢報いる快勝劇を見せてくれるだろうか。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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