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物議を醸したエリザベス女王杯“暴走”が引き金?「疎遠」の2人が1年2か月ぶりコンビ復活

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横山典弘騎手

 夏競馬も今週末で終了。3日の札幌5Rでは今年の北海道シリーズ最後となる2歳新馬(芝1500m)が行われる。

 前評判が高いのはC.ルメール騎手が騎乗するブライトサインだ。伯父には朝日杯フューチュリティS(G1)の覇者ゴスホークケンがおり、2歳の早い時期から走れる血統だ。

 そんなブライトサインに負けない血統馬が新種牡馬のサトノダイヤモンドを父に持つマテンロウカノン(牝2歳、美浦・萩原清厩舎)である。母のウォークロニクルは、中央で1勝(地方で2勝)に終わったが、半妹にクロノジェネシスとノームコアというG1馬2頭がいる良血だ。

 そのマテンロウカノンの鞍上に指名されたのが、先週末から札幌で騎乗しているベテランの横山典弘騎手。この夏はほぼ小倉に滞在していたが、このタイミングで北の大地に移動してきた。

 土曜の騎乗はこの1鞍だけという横山典騎手。翌4日には再び小倉で騎乗するため、手ぶらでは札幌を後にできないだろう。この馬のために北上したなら、勝負気配ありとみていいはずだ。

 マテンロウカノンを管理する萩原調教師と横山典騎手は、かつてロジユニヴァースで日本ダービー(G1)を制覇した盟友。開業27年目の美浦のベテラン厩舎がこれまで最も多く騎乗を依頼してきたのも横山典騎手である。

 ピーク時(2006~13年頃)には年間40鞍ほどコンビを組んでいた両者だが、ここ数年は鞍上が騎乗数を絞っていることなどもあって、その数は年間10鞍前後まで減少していた。それでも、20年にはダノンキングリーで中山記念(G2)、ノームコアで札幌記念(G2)を制覇。その絆は不変と思われていたが……。

「物議を醸したのはその年(20年)の秋のことでした。札幌記念を快勝したノームコアは引き続き横山典騎手を背にエリザベス女王杯(G1)に出走し、ラッキーライラックと人気を分け合う形で2番人気に支持されました。

古馬になってからは、末脚を生かす競馬で結果を残していたノームコアですが、このレースは好スタートを切ると、意表を突く逃げの手を打ったのです。600m通過も34秒9という速いラップで扇動したこともあって、結果的に後方に控えていた馬が上位を占める追い込み決着となり、ノームコアは18頭立ての16着に大敗しました。

レース後に鞍上が残した『思い描いていたレースはできた』というコメントには、ファンから『なぜ逃げた』、『逃げるなんて聞いてない』といった疑問の声が噴出したのは言うまでもありません」(競馬誌ライター)

 思い切った逃げや追い込みでアッと驚く「横山マジック」を披露することもある横山典騎手だったが、結果的には失敗したといえる大敗だった。そしてこれに追い打ちをかけたのが次走・香港C(G1)後に萩原調教師が残したコメントかもしれない。

「Z.パートン騎手がうまく乗って良さを引き出してくれました」

 コロナ禍ということもあって、ノームコアの引退レースとなった2020年の香港C(G1)には、地元・香港の名手、パートン騎手が騎乗。逃げの手に出たエリザベス女王杯から一転して、中団後方を進むと、直線で温存していた末脚を爆発させ、見事に有終の美を飾ったのである。

 この時の萩原調教師のコメントが暗にエリザベス女王杯の横山典騎手を批判したのではないかと感じた一部のファンの間では話題となった。

 エリザベス女王杯での“暴走”が引き金となったかどうかは分からないが、20年には18回を数えたこのコンビも翌21年には2回に激減。さらに今年はここまで一度もコンビを組むことがなかったことを思えば、疎遠になっていたといえるだろう。

 そんな2人を引き合わせたのは「マテンロウ」冠名でお馴染み、横山典騎手を主戦に据える寺田千代乃オーナーだ。同オーナーは昆貢厩舎を中心に所有馬の8割以上を関西の厩舎に預託している。ところが、マテンロウカノンは初めて萩原厩舎に預けた馬だ。もしかすると、長らくコンビを組んでいない両者への心遣いもあったのかもしれない。

 追い切りでもマテンロウカノンに跨り、しっかり反応を確かめた横山典騎手。奇しくもノームコアの姪にあたる本馬でオーナーと萩原調教師の期待に応えることはできるか。土曜の新馬戦は要注目の一戦となりそうだ。

中川大河

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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