ドウデュースやクロノジェネシスを輩出…小倉2歳Sデーの密かな出世レースが見逃せない
4日、小倉競馬場では小倉2歳S(G3)が行われる。夏の小倉開催を締めくくる2歳重賞に、スピード自慢の若駒たちが集結。過去10年の優勝馬のうち、半数を超える6頭が後に芝1600m以下の重賞を制するなど、“出世レース”としても毎年注目を集めている。
昨年はナムラクレアがこの舞台で重賞初勝利を挙げ、その後も世代限定の大舞台で奮闘。今夏は函館スプリントS(G3)を制し、北九州記念(G3)も進路取りのロスがありながら3着。現在サマースプリントシリーズで首位を走るなど、JRA屈指のスプリンターへと飛躍を遂げた。
今年も新星の登場に期待が膨らむ中、この日の小倉競馬場で注目すべきなのはメインレースだけではない。近年にわかにその価値を上げているのが、小倉2歳S当日に行われる芝1800mの新馬戦である。
直近5年の勝ち馬のうち、実に4頭が重賞ホース
昨年このレースを勝ったのはドウデュース。新馬勝ちの後は東京でアイビーS(L)を勝利し、無敗で挑んだ朝日杯FS(G1)を制覇。3連勝で2歳G1チャンピオンへと登り詰めた。
その後は弥生賞ディープインパクト記念(G2)で2着、皐月賞(G1)は3着と中山で勝ち切れなかったものの、東京に舞台が替わった日本ダービー(G1)を制覇。現在は10月にフランスで行われる凱旋門賞(仏G1)に向けて、国内で調整を続けている。
過去のレースの勝ち馬を見てみても、2019年の覇者・ヴェルトライゼンデは新馬と萩S(L)を連勝した。その後は世代限定の重賞で善戦。勝利こそ挙げることはできず、2021年のAJCC(G2)を最後に約1年半の休養を余儀なくされたが、今年6月の鳴尾記念(G3)で悲願の重賞勝利を成し遂げた。
その前年、2018年の勝ち馬はあのクロノジェネシス。2020年の宝塚記念(G1)からグランプリ3連覇を成し遂げ、G1を計4勝した怪物牝馬も、小倉2歳Sデーの芝1800mメイクデビューの出身だった。さらに2017年の勝ち馬であるメイショウテッコンも、ラジオNIKKEI賞(G3)と日経賞(G2)で重賞2勝を挙げている。
近年では唯一2020年の勝ち馬・アドマイヤザーゲだけが重賞タイトルに手が届いていないが、こちらは3歳夏から長期休養を強いられていただけに、仕方がない部分もあるだろう。そんな中でも、1年以上の休み明けで挑んだ今年8月の宮崎特別(2勝クラス)を快勝。今後に期待を抱かせるレースぶりを見せており、引き続き注目だ。
このように、直近5年の勝ち馬のうち、実に4頭が重賞ホースとなった。G1を計6勝という実績は、過去の「伝説の新馬戦」と呼ばれたレースと比較しても決して引けを取らない。
次なるスター候補は一体どの馬か。今年この“登竜門”に早くから参戦を表明していたのが、ドウフォルス(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。
武豊騎手×友道厩舎のコンビは前年度の覇者・ドウデュースと同じで、父も同じハーツクライ。しかも、馬主もドウデュースを所有するキーファーズの代表である松島正昭氏が立ちあげた新設クラブのインゼルレーシングだから、ドウデュースの直属の“後輩”と言っても過言ではない。
母は違うものの、友道師は「胴が詰まっていてパワータイプ」と印象を語り、「ドウデュースに似ている」というコメントも。追い切りで感触を確かめた武豊騎手も、「いきなり比較するのはかわいそうだが……」と前置きはしつつ、「ドウデュースもデビュー当時はもたもたするところがあった。ここからどう成長してくれるか楽しみ」と期待を口にしている。
ドウフォルスが偉大な“先輩”に続くのか、はたまた別の新星候補が登場するのか。9月4日は小倉2歳Sだけでなく、お昼の新馬戦からも目が離せない。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛