スタニングローズ「タックル疑惑」を藤田伸二氏が完全否定!? スターズオンアースの三冠が霧散した「玉突き事故」の理由
16日、阪神競馬場で行われた牝馬三冠の最終章・秋華賞(G1)は、3番人気のスタニングローズ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)が勝利。春のオークス(G1)で2着に敗れた悔しさをバネに実りの秋へとつなげた。
「夢に見たG1の舞台で勝つことができて最高の気分です」
レース後、そう喜びを爆発させた坂井瑠星騎手はデビュー7年目にして、これがG1初制覇。先月のスプリンターズS(G1)では、同期の荻野極騎手が一足早く初G1勝利を決めていただけに燃えるものがあったに違いない。
その一方で、スターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)は3着に終わった。
史上7頭目の牝馬三冠は目前だった。1996年に秋華賞が創設されて以降、スティルインラブ、アパパネ、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトの6頭が牝馬三冠に挑んだが、敗れたのはブエナビスタただ1頭。5/6という関門は、スターズオンアースにとって決して困難なハードルではなかったはずだ。
ゲートでやや出負けしたスターズオンアースだが、決して大きな出遅れではなかった。しかし、その直後、スタニングローズと接触したナミュールが、玉突き事故のようにスターズオンアースとも接触……。出遅れた上に不利が重なり、彼女にとってキャリアで最も重要な一戦は、スタートからわずかコンマ数秒でほぼ終わってしまった。
最後の直線では、ほぼ最後方という絶望的なポジションから上がり3ハロン33.5秒の凄まじい末脚で追い上げたものの、勝ち馬には0.1秒届かず3着に敗れている。
勝ったスタニングローズと、敗れたスターズオンアース。レース後、主戦のC.ルメール騎手が「スタートだけが残念でした」と振り返った通り、両者の明暗はスタート直後の数秒で大きく分かれる結果となった。
「タックル疑惑」を藤田伸二氏が完全否定!?
それだけにレース直後にはSNSや掲示板などで坂井騎手に対する不満の声もあったようだが、元JRA騎手の藤田伸二氏がしっかりと否定している。
「スターズオンアースにとっては、まさに不運が重なったレースになってしまいました。
結果的にスタニングローズとナミュールの接触に巻き込まれてしまったことが致命傷になりましたが、元騎手の藤田伸二さんもTwitterで『一歩目やし騎手はどうも出来んしな…』(原文ママ)と坂井騎手を庇っていた通り、あくまで結果論。
また、スタニングローズと最初に接触したナミュールは446キロと出走馬の中でも下から3番目。そんな小柄な馬が、上から2番目の488キロだったスタニングローズとぶつかったことは、スターズオンアースにとっても不運と言わざるを得ません。
それで3着は立派ですが、この馬にとっては1着だけが大きな意味を持つレース。いずれにせよ、陣営にとっては不完全燃焼といえる残念なレースになってしまいました」(競馬記者)
また別の記者は「オークス後の故障」が影響したという。スターズオンアースは春のオークス(G1)で二冠を達成した後、両前脚の剥離骨折が判明。骨片除去手術を行ったものの、秋華賞出走が危ぶまれていた。
「レース後にルメール騎手も『馬の状態は良かった』と話していた通り、スターズオンアースの状態は決して悪いようには見えませんでしたし、それは1番人気に支持されたことでも証明されていると思います。
ただ、スターズオンアースは本来ゲートが上手な馬。スタートの接触が大きな敗因ですが、そもそも出遅れていなければ、あれだけの致命傷にはなっていなかったはず。今回、初めてスタートで後手を踏んでしまったのは、やはり久々のレースが影響したようにも思えます。
中間にアクシデントがあった中で陣営もよく立て直したと思いますが、仮に何事もなく順調にトライアルを使えていれば、また違った結果になっていたかもしれません」(別の記者)
振り返ってみれば、秋華賞が創設後に三冠に挑戦して唯一敗れたブエナビスタもまた、札幌記念(G2)を使った後に右前脚に蟻洞(蹄壁内部に空洞が生じる蹄疾患)の発症が確認されている。幸い大事には至らなかったものの、三冠制覇に微妙な影を落としたことは確かだ。
「絶望的な位置から、よく最後は伸びてきたと思う」
レース後、管理する高柳瑞調教師からそう称えられたスターズオンアース。レースは敗れてしまったものの最後の脚は際立っており、世代の中心にこの馬がいる事実は変わらない。必ずしも強い馬が勝つわけではないのが競馬の魅力の1つだが、今回は春の二冠馬にとってただただ不運なレースとなってしまった。
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