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“オジュウ大敗ショック”の45馬身先で……少数精鋭「新興一口クラブ」にようやく福来る!?

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撮影:Ruriko.I

 16日、東京競馬場で行われた東京ハイジャンプ(G2)には、JRAでも屈指の人気を誇る11歳馬のオジュウチョウサンが登場。半年ぶりの復帰戦で通算21勝目を見ようと、多くのファンが声援を送ったが12頭立ての9着に敗れた。

「飛越のリズムが良くなかった。向正面の2つ目では落馬しそうなくらい」

 鞍上の石神深一騎手はレース後、『スポーツ報知』の取材にそうコメント。勝ち馬から7秒5(約45馬身=1秒を6馬身で換算)差をつけられ、歩くようにゴールした姿にはファンから「ショックすぎる」「もう引退させてあげて」など同情ともいえる声がSNSなどで上がるほどだった。

 そんなオジュウチョウサンを尻目にゴール前で激しい追い比べを演じたのは、1番人気ホッコーメヴィウスと3番人気ゼノヴァース(牡5歳、栗東・小林真也厩舎)の2頭だった。

 道中はホッコーメヴィウスがいつも通り逃げる展開。これを2番手からがっちりマークしたゼノヴァースが直線半ばで捉えると、最後は2馬身突き放して重賞初制覇を飾った。

 これは管理する小林師だけでなく、馬主のフクキタルにとってもうれしい重賞初V。発足からまだ間もない一口クラブに早くも福がやって来た。

少数精鋭「新興一口クラブ」にようやく福来る!?

 競馬ファンの間でも、馬主「フクキタル」の知名度はそれほど高くないはずだ。クラブを設立したのは、パカパカファームの牧場長も務めるハリー・スウィーニィ氏。2017年に募集を開始したばかりの新興で、募集馬は年間7頭前後という少数精鋭で運営されている。

 初年度にはダービー馬ディープブリランテの全弟をラインアップして話題を振りまいたが、当初は苦しい戦いを強いられた。

 初年度は3頭がJRAでデビュー。合計19戦したが、1勝するのがやっとという状況だった。2年目の世代は6頭がデビュー。2頭が勝ち上がり、今も現役でルヴォルグは通算4勝を挙げている。

 そしてゼノヴァースがいる3年目世代は6頭中3頭が勝ち上がり、今も2頭が現役。もう1頭の“生き残り”である牝馬のセルフィーは、この日の新潟メイン・信越S(L)に出走すると9番人気で3着に好走し、同期の重賞初Vに花を添えた。

「フクキタルは募集馬の少なさを考えれば、まずまず健闘している方だと思います。2年目のルヴォルグは、デビュー勝ち直後の東京スポーツ杯2歳Sで1番人気に支持されたほど将来を嘱望されていた馬。古馬になってからは3勝クラスで頭打ちになりましたが、障害に転向後に1勝しています。

ゼノヴァースも似たパターンを辿っていて、3歳時には京成杯(G3)で3番人気に推されるほどの期待馬でした。その後は3勝クラスで伸び悩んでいましたが障害で素質を開花させ、転向後の成績を8戦3勝としています。

毎年80頭前後をそろえるサンデーRや社台RHに比べると、質・量ともに劣るのは事実ですが、HP上に調教動画を熱心にアップするなど、会員に対するきめ細かいサービスには定評があります。また、少数精鋭で会員同士の距離も近いのか、今回のゼノヴァースの勝利には掲示板などで祝福の声があふれていましたよ」(競馬誌ライター)

 そんなフクキタルに待望の重賞勝利を届けたゼノヴァース。今後はG1の大舞台にも挑むことになるだろう。ゼノヴァース、そしてフクキタルにとっても“未知の領域”となるG1でどんな走り、どんな飛越を披露してくれるのか。障害界では若手の部類に入る5歳馬の今後がますます楽しみだ。

中川大河

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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