「お役御免」松山弘平に残酷過ぎた現実…降板した2頭がもたらした屈辱的な結末
27日に行われたジャパンC(G1)は、R.ムーア騎手が騎乗した3番人気ヴェラアズールが勝利した。
2020年3月のデビューから今年の1月までダートのレースを16戦使われ、2勝クラスすら卒業できなかった馬が、芝に転戦して6戦目でG1を制覇。それもわずか8ヶ月の偉業なのだから、ちょっとしたシンデレラストーリーといえるだろう。
コントレイル世代にあたる5歳馬だが、無敗の三冠馬が引退レースを飾った翌年のジャパンCに同じ世代から勝ち馬が出たのは、低レベル疑惑に一石を投じる結果だ。3着に入ったヴェルトライゼンデもまた20年のクラシックを沸かせた1頭でもあった。
瞬く間に頂点へと駆け上がったヴェラアズールだが、前走の京都大賞典(G2)で勝利に導いたのは松山弘平騎手。この乗り替わりについては、外国人騎手を優先的に起用しているキャロットファームがオーナーのため、ある程度想定できたものの、中1週の強行軍で参戦を表明したデアリングタクト陣営が、新たにT.マーカンド騎手とのコンビを発表したことは驚きだった。
「お役御免」松山弘平騎手に残酷過ぎた現実…
2年前に無敗で牝馬三冠を制したパートナーは、デビューから松山騎手が手綱を取り続けていた最愛の恋人ともいえる存在。松山騎手自身から降板を望んだとは考えづらく、精彩を欠いた近走から脱却するための思い切った乗り替わりだったかもしれない。
6着に敗れた2走前のオールカマー(G2)は、当時の中山が外を回した馬に不利な状態だったと指摘する声もあり、前走のエリザベス女王杯(G1)も当日の雨で外が伸びる馬場へと変わり、馬場の悪い内で揉まれて伸びあぐねて6着に敗れていた。
ジャパンC前の陣営がトラックバイアスや天気に左右されたというコメントを出していたことを考えれば、「フェアなコンディション」を望んだのは分かる理屈だ。結果的に松山騎手の騎乗が期待に応えるものではなかったということだろう。
対するマーカンド騎手の場合は、10月29日の初騎乗から一貫して東京競馬場で騎乗。イギリスのトップジョッキーらしいアグレッシブなスタイルで好成績を収めていた。以前に比べて闘争心に衰えを感じられたデアリングタクトに「闘魂」を注入する意味でも、いい刺激になると考えたはずだ。
実際、レースでは直線で窮屈になるシーンがあったものの、マーカンド騎手が「あと30mあれば違った」「素晴らしい牝馬」と評したように、女王復活を期待させる走りを披露。これには陣営も好感触を得たのではないか。
よりによって降板した2頭が揃って好走した松山騎手にとっては、屈辱的な結末となってしまったジャパンCだが、騎手の乗り替わりは競馬において日常茶飯事であることも確か。信頼を得るためには、どの騎手も騎乗馬の能力を引き出して陣営からの信頼を勝ち取らなければならない。
今週末のチャンピオンズC(G1)には、断然人気も予想されている昨年の覇者テーオーケインズに騎乗する松山騎手。デアリングタクトとのコンビもまだ完全に解消と決まった訳ではない。
コンビ復活をアピールするためにも、まずは残酷な現実が待ち受けていたジャパンCの悪夢を会心の勝利で払拭したいところだ。
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