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JRA「邪魔になった」トップナイフ陣営が武豊に恨み節!? 弥生賞(G2)で見えてきたクラシックの勢力図

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武豊騎手

 先週末は東西で3歳クラシックを占う注目のトライアルが行われた。土曜阪神のチューリップ賞(G2)はモズメイメイ、日曜中山の弥生賞ディープインパクト記念(G2)はタスティエーラがそれぞれ勝利。大一番を前にニューヒーロー、ニューヒロインが登場したといえる。

 7番人気の伏兵モズメイメイを勝利へ導いた武豊騎手は、ハナを奪うと絶妙なペースでレースを支配。最後は2着コナコーストにハナ差まで追い詰められるシーンもあったが、薄氷ながら残し切った。2年前の同レースを1番人気メイケイエールで制したレジェンドだが、今年は穴馬で見事な騎乗を披露してくれた。

 土日重賞制覇を目論む武豊騎手は、日曜中山の弥生賞でも5番人気のゴッドファーザーとコンビ。芝2000mのレースで1000m通過61秒0のマイペースに落とし込めたが、最後の直線でズルズルと後退し、10頭立ての最下位に終わってしまった。ラップ感覚に定評のある武豊騎手の騎乗は素晴らしかったとはいえ、こちらはパートナーが本来の能力を発揮できなかったということだろう。

トップナイフ陣営が武豊騎手に恨み節!?

 その一方、弥生賞は昨年暮れのホープフルS(G1)で2着に入った実力馬トップナイフの今年初戦という意味でも注目を集めていた。世代トップクラスの実力を証明する走りだったが、陣営からは武豊騎手への“恨み節”のようなコメントがレース後に出されてもいた。

「逃げ馬が邪魔になりました」という、気になるコメントを残したのは同馬を管理する昆貢調教師だ。その理由とは「4コーナーで追い出しのタイミングがひとつ遅れてしまいました」とのこと。続けて「悔しいですが、スムーズな競馬をした馬が勝ちました」と、不満が残った様子である。着順が入れ替わるほどの不利があったかどうかは疑わしいが、何があったのだろうか。

「インの好位を追走したトップナイフとしては、ワンテンポ早く抜け出したかったところでしたが、逃げていたゴッドファーザーが前にいたため、進路の確保ができるまで追い出しを待つような格好でした。

トップナイフが手間取っている間に、外から先に動いたタスティエーラが先頭に並び掛ける勢いでしたから、おそらくここで後手に回ったことで苦しくなったということかもしれません。ただ、レース展開を振り返って、勝負を左右するほどだったかといわれると、疑わしいです」(競馬記者)

 実際に映像を見ると、ゴッドファーザーの動きを確認しつつ、追い出しを待っている横山典弘騎手の姿は確認できるのだが、内を突くということは、このようなリスクがあって当然だ。ゴッドファーザーと武豊騎手の動きは想定される範囲内のことであり、審議のランプの点灯もなければ、これといった処分も発表されていない。

 2週前の中山記念(G2)は、ドーブネが内に斜行したことで武豊騎手に戒告処分が下された。このときは後続馬に明確な被害もあり、ファンの間で物議を醸したことは記憶に新しい。

 とはいえ、弥生賞のケースはどちらかというと“言い掛かり”に近い印象もある。追い出しがワンテンポ遅れながらも勝ち馬から1馬身離されただけでなく、脚が鈍って3着のワンダイレクトともクビ差なのだから、仮にスムーズに抜け出していたとしても、勝てたかどうかは分からない程度にも映った。

 ひとつ言えるとすれば、今年の3歳牡馬はまだまだ混戦模様が続いているということだろうか。

 勝ち馬のタスティエーラは前走の共同通信杯(G3)で4着に敗れていた馬。その馬がG1のホープフルSで2着に好走しているトップナイフに快勝した。両レースのレベルを比較すると共同通信杯組が上という見方も可能だ。

 ところが共同通信杯の勝ち馬ファントムシーフは、ホープフルSで出遅れがあったとしても4着に敗れている。ちょっとしたジャンケンのような感じのため、結果のみで弥生賞のレベルが怪しいと結論を出すには怖さもある。

 皐月賞(G1)のトライアルは、まだ若葉S(L)やスプリングS(G2)も残しており、毎日杯(G3)組の動向も気になるところ。抜けた馬もおらず、引き続き大混戦の状況が続いていることに変わりはなさそうだ。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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