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【菊花賞】武豊は何故、逃げたのか。「安易に逃げるな」福永祐一や川田将雅が否定も「やりたいレースはできた」と語るレジェンドの真意とは

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武豊騎手

「安易に逃げてはいけない――」

 今年27年間の騎手生活に幕を下ろし、調教師として新たなスタートを切った福永祐一元騎手が、かつて川田将雅騎手に送ったアドバイスである。「一度逃げを覚えると、その後の成長が見込めなくなってしまう」という福永元騎手の持論であり、後輩の川田騎手もその“金言”を忠実に守って、今や日本を代表するリーディングジョッキーに上り詰めた。

 だが、その一方でG1を見据えたトライアルで、あえてキャリア初の逃げ……福永元騎手の言葉を借りると「一度逃げを覚えると――」を選択した騎手がいる。2人が敬愛し、尊敬するレジェンド・武豊騎手だ。

 9月の神戸新聞杯(G2)は、今週末の菊花賞(G1)の王道トライアルだ。これがコンビ2戦目となるファントムシーフ(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)と挑んだ武豊騎手は、好スタートを決めるとチラリと内を伺って迷わずハナに立った。それもレース後に「やりたいレースはできた」と言ったのだから、狙い通りの逃げである。

 ここで福永元騎手の「一度逃げを覚えると、その後の成長が見込めなくなる」という持論をもう少し掘り下げたい。

 福永元騎手が言う「成長」とは無論、馬の肉体的な成長ではない。川田騎手が自身のコラムで「そのあと我慢が利かなくなって出世しづらくなる」(netkeiba VOICE川田将雅より)と改めて解説している通り、折り合いや騎手の指示に応える操縦性など、レースそのものを覚える精神的な成長を差している。

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ファントムシーフ 撮影:Ruriko.I

 そういった意味で、これから武豊騎手とファントムシーフが挑む菊花賞は3000mの長丁場。まさに、これまで「成長」を重ねてきた精神面の強さが重要なレースである。ただ、そんなことは史上最多の菊花賞5勝を誇る武豊騎手が誰よりもよくわかっているはずだ。

「武豊騎手によると、前走の日本ダービー(G1)のスタートがあまり良くなかったことが、神戸新聞杯で逃げたことに繋がっているそうです。必ずしも逃げる必要はなかったそうですが、発馬からしっかりと馬を出していくことが神戸新聞杯の大きなテーマの1つだったとか。

というのもファントムシーフは元々、好位抜け出しで共同通信杯(G3)を勝利するなど、強力な先行力を武器としていた馬でしたが、皐月賞(G1)でハイペースを読み切ったC.ルメール騎手があえて後方からの競馬を試みました。

結果的に3着と善戦しましたが、これで馬の方がスタートからゆっくり行く競馬を覚えてしまい、それが結果的に次走の日本ダービーの出遅れの一因になったと思います。

神戸新聞杯であえてスタートからダッシュをつける作戦に出たのは、武豊騎手の中に先行力が武器の『本来のファントムシーフ』に戻す意図が込められていたからでしょうね」(競馬記者)

「向正面での勇気が足りませんでした……」

 5月の日本ダービーのレース後、3番人気に推されながらも8着に敗れた武豊騎手は、珍しく自身の不甲斐なさを責めるコメントを残している。

 ファントムシーフとはこの時が初コンビだったが、ゲートこそ出たものの「スタートがあまり速くなかった」と話している通り、ダッシュがつかずに後方から。最後の直線で上がり3ハロン33.5秒の末脚を発揮したものの、スローペースもあって8着に追い上げるのがやっとだった。レース後には「少しポジションを上げていったけど、結果的にもっと(前のポジションに)行くべきだった」と悔いが残るレースだったことを強調している。

 あれから約5カ月。菊花賞を控えた共同会見で、前走を振り返った武豊騎手は、やはり「レース自体もやりたいことはできました。結果は残念ですが、内容は良かった」と、改めて神戸新聞杯の狙いを強調している。

「やりたいレースはできた」と語るレジェンドの真意とは

「落ち着いて質疑応答に応える様子は、いつも通りの武豊騎手でしたが『春に結果を残せなかったけど、またこうして依頼してくれた。自分としては力の入るところ』『何とかこの菊花賞でという思いは強い』と、言葉の節々に“リベンジ”への強い思いが込められているのが印象的でした」(同)

「さて、今週は菊花賞です。神戸新聞杯の3着は中身の濃いもので、距離が延びるのも悪くありません。ダービーでうまく乗れていなかった感があるので、その分もここでお返ししたい気持ちです。ご声援をお願いします」

 今週の公式ホームページで、そう菊花賞への思いを綴っている武豊騎手。福永元騎手や川田騎手ら、日本を代表するジョッキーが否定的な「逃げ」をあえて選択したレジェンドだが、その“真意”を本番の菊花賞で披露する。

GJ 編集部

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