JRAマイラーズC(G2)モズアスコット今年も「荒療治」必要? 昨年連闘で安田記念制覇も……
21日、安田記念(G1、芝1600メートル)の前哨戦マイラーズC(G2、芝1600メートル)が行われる。昨年の安田記念馬モズアスコット(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)はどんな走りができるのだろうか。
モズアスコットが昨年、安田記念を制する過程は実にスリリングだった。明け4歳初戦に阪急杯(G3、芝1400メートル)を選択。1番人気に支持されたが伏兵ダイアナヘイローの逃げをつかまえられず2着。続くマイラーズCでは珍しく先行策に出るが、サングレーザーの末脚にあっさり撃破されて2着。重賞で2度連続2着となり、賞金加算はできたが安田記念に出走できるかどうかは微妙だった。
G1レースの出走登録は2週間前に行われる。モズアスコットの安田記念登録馬の中での賞金順位は19番目。フルゲート18頭の安田記念、回避馬が1頭もいなければ出走できない。陣営は安土城S(オープン、芝1400メートル)を勝って賞金加算、安田記念に連闘で臨むことを決断。安土城Sの鞍上はオーストラリア遠征から一時帰国していた矢作芳人厩舎所属の坂井瑠星騎手。しかし、格下馬ダイメイフジにクビ差届かなかった。
賞金加算を行えず安田記念の出走は危ういかと見えたが、数頭が回避したためフルゲート割れの16頭立てとなった。結果、安土城Sを使った意味はなかったわけだが、矢作調教師は「連闘は、ぼくが最も得意とするローテーションです」と連闘策そのものの意義を強調。鞍上はモズアスコットで4戦2勝2着2回のC.ルメール騎手。それでも9番人気という低評価だった。肩透かしになってしまった連闘策、重賞勝ちがないこと、格下馬にコロッと負ける勝負弱さなどが人気薄の理由だった。
レースではC.ルメール騎手は、鞍上M.デムーロ騎手の1番人気スワーヴリチャードをマーク。直線の攻防でスワーヴリチャードが外へ寄れた瞬間、スワーヴリチャードを抜き去って先頭のアエロリットに迫り、ゴールではクビ差交わした。勝ちタイムは1分31秒3。コースレコードタイだった。
紆余曲折はあったもののモズアスコットはこうして春のマイル王に輝いた。父は14戦無敗のフランケル、母も重賞勝ち馬であり、近親にはG1を2勝している馬もいる良血。矢作調教師は「ポテンシャルは疑いようがない。世界的な種牡馬にするためにもGIの勲章がほしい」と語っていた。秋は春秋統一マイル王の座を目指した。
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