JRA日本ダービー(G1)兄は「ダービー1番人気」ヴェルトライゼンデが8年前の雪辱を期す! ワールドプレミアは“未経験”の「左回り」への対応がカギ
31日、東京競馬場で競馬の祭典・日本ダービー(G1)が開催される。コントレイル、サトノフラッグ、サリオスの3強対決で盛り上がった皐月賞(G1)で離れた4番人気に支持されていたヴェルトライゼンデ(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)に注目したい。
前走の結果は、中団追走から直線で荒れたインコースに進路を取ったことが響いたのか、伸びを欠き8着に敗れた。日本ダービー(G1)では2ハロン伸びるが、血統的に距離延長は歓迎。良馬場なら前走からの巻き返しは必至だろう。
ヴェルトライゼンデにとって“カギ”は初めての東京競馬場、そして初めての左回りへの対応になるだろう。半兄には重賞2勝、皐月賞2着のワールドエース、そして昨年の菊花賞馬ワールドプレミアがいる良血。偉大な兄2頭を含め6頭の兄姉が中央で走っているが、そろって左回りコースでの成績が振るわない。
ヴェルトライゼンデも含めた兄姉7頭の通算成績は、右回りの「9-5-3-15」に対し、左回りは「1-2-1-10」。数字が示す通り、明らかに左回りでは安定感を欠く血統といえるだろう。ワールドエースは2012年のダービーで1番人気に支持されたが、ディープブリランテの4着に終わった。そのワールドエースもダービーで初の左回りを克服できなかったことになる。通算でも「0-1-0-5」と左回りでは一度も勝てなかった。ちなみにワールドプレミアはデビューから7戦連続で右回りコースだけを使われている。
果たしてヴェルトライゼンデは、兄姉が苦手とした「左回り」で好走は可能だろうか。
ヴェルトライゼンデを管理する池江厩舎にとっては2011年以来のダービー制覇を狙うが、今年に入って勝ち鞍が伸びていない。池江厩舎は今年ここまで15勝で、全国リーディング15位にとどまっている。
開業1年目の2004年が203位、2年目が55位だった池江厩舎。開業当初は今では考えられないほど低迷していた。しかし3年目に全国リーディング10位に躍進すると、昨年まで14年間にわたってリーディングトップ10入りを続けている。リーディングトレーナーにも3度(2008年、2012年、2017年)輝いたまさに名門厩舎といえる存在である。
その池江厩舎とともに9年ぶりのダービー制覇を目指すのがヴェルトライゼンデに騎乗する池添謙一騎手だ。
2走前のスプリングS(G2)から手綱を託された池添騎手も今年はなかなか勝ち鞍を伸ばせずにいる。先週のオークスを迎える前週の時点で16勝と低迷。しかし先週は京都競馬場で土日合わせて5勝の固め打ちを見せた。日曜メインレースで挙げた5勝目は区切りの通算1200勝。リーディングも30位から21位に急上昇した。不振から一転、気分良くダービーウイークを迎えることになりそうだ。
東日本大震災が発生した激動の2011年、オルフェーヴルで三冠を達成した「池江×池添」の黄金タッグ。あれから9年、コロナ禍で混乱する日本に再び希望の光を照らすことはできるだろうか。
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