JRA「金色の暴君」オルフェーヴルがタケシバオー2世を襲名!? 伝説の怪物を彷彿させる完全無欠の存在に…… 令和を代表する種牡馬に駆け上がるか
先週、中山競馬場で行われたカペラS(G3)は坂井瑠星騎手のジャスティンが勝利。前走のJBCスプリント(G1)では1番人気に支持されたものの、8着と人気を裏切った。今回、58キロでの参戦ということもあって4番人気に評価に甘んじていた。
だが、いざ蓋を開けてみれば格の違いを見せつけての快勝。前半3ハロン33秒2の激流を難なく好位から抜け出し、2着のレッドルゼル、3着のダンシングプリンスの追撃を凌ぎ切った。
既に交流重賞の勝利はあったものの、JRA重賞はこれが初勝利。ダート短距離路線の主力を担う1頭として今後の活躍に期待がかかる。
ジャスティンの父は現役時代・金色の暴君の異名を持った三冠馬オルフェーヴル。自身の現役時代は芝のレースのみでダートは出走経験がなく適性としては未知数だった。祖父にあたるステイゴールドも芝で活躍する産駒が多く、ダートのイメージは薄い。それだけに、ジャスティンがダート1200m重賞であるカペラSを勝利したことは、種牡馬オルフェーヴルとしても新たな可能性が広がったといえそうだ。
また、オルフェーヴルの意外性はダートだけではない。
5日に行われた中山のステイヤーズS(G2)でも産駒のオセアグレイトが芝3600mという日本一距離が長いレースで重賞初勝利。長距離でも抜群の適性を証明していたのである。
17年にデビューした初年度産駒ラッキーライラック、18年デビューのエポカドーロはいずれもG1馬に輝いた。それ以外でも実に多種多様な舞台で産駒が結果を出し始めている。それこそダート1200mから芝の3600mまで幅広い距離をカバーし、これ以外にもマイルから中距離でも重賞勝ちを収めているのだ。
勿論、産駒の適性は母馬の影響も大きいにしろ、完全無欠のオールラウンダーといってもいいだろう。
「まだ世代数が少ない内からここまで活躍馬が出たことは、種牡馬として十分に成功したといえる成績ではないでしょう。代表産駒のラッキーライラックにしても、運悪くアーモンドアイと同世代だったため、その陰に隠れるような形となりましたが、これまでG1を4勝しています。有馬記念で引退が決まっていますが、勝利するようなら5冠馬です。
牡馬はエポカドーロから大物が出ていませんが、オーソリティ、オセアグレイトが秋の重賞を勝利と勢いがあります。いつG1を勝っても驚けない存在だけに、来年の楽しみは十分にありそうですよ」(競馬記者)
また、種牡馬としてではないが、現役時代に幅広い適性で有名だったのが1960年代後半に活躍したタケシバオーだ。同馬の通算成績は29戦16勝。芝1000mをはじめ、ダート1700mではレコードを2回記録、春の天皇賞を制した名馬である。
中央競馬で初めて「怪物」といわれ、マイナー血統の馬が良血のライバル馬を倒す姿から「野武士」の異名でも親しまれ、04年にはJRAの顕彰馬に選出された。
互いに時代と背景は異なるが、種牡馬オルフェーヴルもまた令和を代表する名種牡馬への階段を着実に駆け上がっているといえそうだ。
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