【有馬記念】ラヴズオンリーユー「なぜ下げた」!?……先行宣言M.デムーロ “不可解”位置取り、痛恨の「12月未勝利」でフィニッシュ
27日に中山競馬場で開催された有馬記念(G1)は、2020年を象徴するような牝馬のワンツーで決着した。
先頭でゴールを駆け抜けたのは1番人気のクロノジェネシス。2着には11番人気のサラキアが大外から追い込んだ。さらに、ラッキーライラックが4着、カレンブーケドールが5着(同着)に食い込み、牝馬5頭のうち実に4頭が掲示板に載り、今年大活躍した牝馬の底力を見せつけた。
そんな中、牝馬で唯一掲示板を外したのがM.デムーロ騎手が騎乗したラヴズオンリーユー(牝4歳、栗東・矢作芳人)だった。
昨年のオークス(G1)では、クロノジェネシスとカレンブーケドールをまとめて負かすなど、1年前の今頃は世代を代表する牝馬だったが、有馬記念では伏兵の1頭という扱いに……。それでも近走の成績からは過剰ともいえる6番人気に支持されていた。
予想以上に多くの人気を集めた理由はおそらく2つ。管理する矢作調教師が「今年一番」と太鼓判を押したように、復調を感じさせた最終追い切りの動き。そして、公開枠順抽選会で、この舞台では絶好枠といえる2枠4番をゲットしたことだろう。“復活”に向けたお膳立ては整ったように見えた。
さらに、デムーロ騎手から飛び出した「スタートが速いので前へ出たい」という先行宣言も大きかっただろう。「それならば」と期待したファンも多かったはずだ。
そして迎えた運命のスタート。ラヴズオンリーユーは好タイミングでゲートを飛び出し、逃げるバビット見る形で2番手をうかがえる位置を取った……はずだった。しかし、デムーロ騎手はおっつけていくどころか、抑え気味に手綱を引っ張り、1周目の4角を回るころには中団まで位置を下げていた。
結局、道中も中団に控えたまま、見せ場らしい見せ場をつくれず、直線は大外をぶん回して10着でゴール。先行宣言をしたはずのデムーロ騎手が見せた想定外の騎乗にはSNSなどでも「なぜ下げた」という失望や不満の声が多く見受けられた。
「馬場が良くなくて、特に内が悪いので、4頭分外を走りたかった。ただ、外からのプレッシャーがきつくて出せませんでした」とは、レース後のデムーロ騎手の敗者の弁だ。
「土曜日(26日)の中山芝はイン有利の前残り馬場でしたが、日曜日には一変し、外伸び馬場になっていたのは事実です。実際に上位3頭は道中外目を進んでいましたからね。結果的に4番枠は絶好枠ではなかったということでしょう。
それでも好スタートを切ったのですから、先行すべきだったかも。結果的に道中は、馬群の真ん中で窮屈な場面もありましたからね。フィエールマンに騎乗したC.ルメール騎手はスローペースを読んで積極的に前に出していき3着。敗れたとはいえ、力を出し切りました。かつては並び称された2人の違いが如実に表れたレースだったと思います」(競馬誌ライター)
ルメール騎手は今年G1・8勝を挙げ、有馬記念も3着と最低限の仕事をしたと言えるだろう。一方、デムーロ騎手は、馬場が一変するという不運があったとしても、ファンの視点からは不可解といえる騎乗を見せてしまった。
これでデムーロ騎手は、12月まさかの未勝利。復活の日は果たして来るのだろうか……。
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