アジア最強モーリス「顕彰馬確実」の声も。ついに踏み入った「頂点」タイキシャトルの領域
11日の香港C(G1)で、見る者の度肝を抜くような強さで引退の花道を飾ったモーリス(牡5 美浦・堀厩舎)。有馬記念のキタサンブラックの結果を待たずして「年度代表馬」とすでに叫ぶ声があるのも当然だ。出遅れながらも一瞬で他馬を置き去りにした末脚は、まさに今の日本競馬の象徴たるに相応しいものだった。
年度代表馬の可能性はもちろんだが、モーリスにはすでにそれ以上の「勲章」を得る可能性も十分にあるだろう。マイルG1を国内外で4勝、それだけでも十分名馬の域にいるが、同馬はこの秋、天皇賞・秋に香港Cと2000mの中距離戦でも「アジア最強」の名を手にした。2つの領域でアジアの頂点に立ったその実績は、仮に年明け「顕彰馬」に選出されてもおかしくないレベルだ。
マイル、つまりは短距離のくくりで言えば、これまで年度代表馬を獲得したのは2頭。90年代後半に「最強マイラー」として絶対的な強さを誇ったタイキシャトル。そして、2013年にアジアスプリント路線を完全制覇し、安田記念も制したロードカナロアだ。タイキシャトルは後に顕彰馬にも選出されている。
タイキシャトルは国内G1を4勝しただけでなく、フランス最高峰マイル競走のジャック・ル・マロワ賞を制する快挙も成し遂げており、当時のマイル路線の歴史の中でも絶対的と言える存在だった。その後も覇権を握ったマイラーというのは存在したものの、タイキシャトルを超える存在感を放った馬はいなかったと言える。
モーリスは、まさにこのタイキシャトル以来の絶対性で、この2年のマイル路線を牽引してきた。
さらに、日本のマイル路線で唯一欧州最高峰のレースを制したタイキシャトルとは「異なる形」で、モーリスはタイキシャトルと「同じ領域」に踏み入った。最強のマイル王として、中距離路線でも国内外の強敵を圧倒したのだ。
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