JRA武豊×友道康夫調教師「共倒れ」の鬱憤晴らす「神騎乗」を安藤勝己氏も絶賛!中山牝馬S(G3)「ワンタイミング分のハナ差」天才的冷静さが導いたランブリングアレー
13日、中山競馬場で行われた中山牝馬S(G3)は、7番人気のランブリングアレー(牝5歳、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。前走の愛知杯(G3)2着の鬱憤を晴らす、嬉しい重賞初勝利となった。
混戦を切り裂いた。16頭立て、芝1800mの一戦。降り続く雨の中、不良馬場で迎えたレースは、ハンデ戦らしく1着から4着までが「ハナ+クビ+クビ」という大接戦だった。
騎手のちょっとした進路取りや、仕掛けのタイミングで大きく結果が変わりそうな一戦。52kgの軽量を活かしてロザムールが2着に逃げ粘る展開の中、3着フェアリーポルカの和田竜二騎手らが早めの追撃。そんな中、腹を括って末脚に懸けたのがランブリングアレーの武豊騎手だった。
「最後はどの馬もキツかったと思いますけど、よく我慢してくれましたね」
レース後、武豊騎手がそう振り返った通り、重い不良馬場とあって最後は各馬バタバタの展開。外から末脚を伸ばしたランブリングアレーが一完歩ごとに差を詰めると、最後は測ったかのように差し切った。
武豊騎手にとっては、これが先週のチューリップ賞(G2)に続く2週連続の重賞勝利。ゴール前は1着同着だった先週に匹敵する大混戦だっただけに「今日は同着じゃなかったですね(笑)」と笑いを誘った。
この結果には、ネット上の競馬ファンもSNSや掲示板を通じて「これは完璧なレース」「届かないと思った」「さすが武さん」と武豊騎手の騎乗を称賛する声が続々……。中には「今日は同着じゃなかったっていうコメントを出せるのが武豊は神」と、そのエンターテイナーぶりに注目した声も多かった。
また、元JRA騎手のアンカツこと安藤勝己氏も「馬場と相まっての前がかりで動きたくなるところを、ワンタイミング仕掛け遅らせた分のハナ差やね」(Twitter)と武豊騎手の騎乗を絶賛。まさに最後まで慌てない百戦錬磨の冷静さが呼び込んだ勝利だった。
一方、今回の勝利はランブリングアレー陣営にも大きな意味があったようだ。
「ランブリングアレーを手掛ける友道厩舎ですが、意外にも武豊騎手とコンビでの重賞挑戦が実現したのは、2002年の厩舎開業から16年後の2018年。ユーキャンスマイルが初めてでした。そのユーキャンスマイルの菊花賞(G1)を10番人気で3着になると、翌年にはワールドプレミアで菊花賞制覇。この辺りから、友道厩舎の武豊騎手へ有力馬の依頼が急増しています。
しかし、ワールドプレミアの菊花賞勝利後、約1か月後にはマイラプソディによる京都2歳S(G3)勝利ですぐに結果が出たものの、そこから長いトンネルに……。
昨年は1番人気だったマイラプソディの共同通信杯(G3)やランブリングアレーの小倉記念(G3)など、9回もコンビで重賞に挑戦しましたが未勝利。今年になっても年明けの日経新春杯(G2)でアドマイヤビルゴが1番人気で大敗するなど、どこか噛み合わない状態が続いていました」(競馬記者)
そんな状況もあってか昨年は重賞3勝に終わり、2013年から7年連続で続いていたG1勝利が途絶えてしまった友道厩舎。また、武豊騎手も2年ぶりのG1未勝利に終わるなど、まさに“共倒れ”のような状況だった。
そんな武豊騎手と友道調教師にとっても、今回の中山牝馬S制覇はコンビで挑戦すること14回、約1年半ぶりの重賞勝利となった。
「今後また、さらに大きなレースでも頑張れたらいいなと思います」
武豊騎手が勝利騎手インタビューをそう締めくくった通り、コンビが次に狙うは当然ランブリングアレーのG1制覇だ。
昨年の騎手リーディング5位の武豊騎手に厩舎リーディング2位の友道厩舎なら、本来であれば競馬界でも指折りの強力タッグ。一つ歯車がかみ合えば、かつての好調ぶりを取り戻せるはずだ。
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