
JRA 藤田菜七子「気迫」の連勝劇! 史上初の「女性ワンツー」はスタート100mで決着……古川奈穂、永島まなみの挑戦に貫禄勝ち
先輩の貫禄を見せつけた。
10日、新潟競馬場で行われた7R・4歳以上1勝クラスは、藤田菜七子騎手の2番人気オパールシャルム(牝4歳、美浦・武藤善則厩舎)が逃げ切り勝利。永島まなみ騎手のランランウイングが2着して、JRA史上初となる女性騎手のワンツーゴールとなった。
藤田騎手のオパールシャルムが2番人気、永島騎手のランランウイングが5番人気と、どちらにもチャンスがあったが「先輩・後輩対決」はスタート100mで“決着”がついた。
15頭立てのダート1200mのレース。戦前の予想では、近5走すべてでハナに立っている永島騎手のランランウイングが逃げを主張すると見られていたが、それに「『逃げたい』と思って行く気で出しました」と強い気持ちを持って、主導権を奪いに行ったのが藤田騎手のオパールシャルムだった。
「逃げようとしましたが、藤田さんの方が速かった」
レース後、永島騎手がそう振り返った通り、スタート直後からハナに立とうとしたランランウイングだったが、藤田騎手のオパールシャルムが譲らない。結局、前に入られてしまい、好位からの競馬になると、最後は1馬身1/4差の2着まで追い上げるのがやっとだった。
「逃げ専門のランランウイングに対して、藤田騎手のオパールシャルムは、ここ最近番手から競馬していた馬。2頭のスタートはほぼ互角でしたが、藤田騎手のハナに対する気迫が上回っていましたね。対する永島騎手も無理に競りに行かず、2着を確保した騎乗は立派。レース後に藤田騎手が『理想通りのレース』と話していた通り、今回は先輩ジョッキーの作戦勝ちでした」(競馬記者)
この日の新潟は重賞レースこそなかったが、藤田騎手と永島騎手に加え、古川奈穂騎手も参戦するなど、現役女性騎手3名のそろい踏みとして大きな注目を集めていた。
結果は藤田騎手の貫禄勝ち。この日、未勝利に終わった永島騎手と古川奈騎手の2人に対して、藤田騎手は先述の7Rに加えて6Rも勝利。2月6日の勝利から61連敗中と勝ち星から遠ざかっていたが、後輩の参戦で闘志に火が付いた。
「藤田騎手は2016年のデビューから、ずっと紅一点で頑張ってきましたからね。後輩女性騎手のデビューは、やはり嬉しかったみたいですよ。デビューからずっと注目していたようですし、本人にも刺激になっていたとのこと。この日が初の3人揃い踏みになりましたけど、藤田騎手も思うところがあったと思います。こういった状況でしっかり勝ってくる辺りは、さすがですね」(同)
レース後、「憧れの先輩と乗れるのが嬉しい」と永島騎手が素直な気持ちを語れば、藤田騎手も「これからは、こういうことが珍しいことではなくて、当たり前になって行くと思う」と、今後ますます加速しそうな女性騎手の進出に期待を寄せた。
現役女性騎手の先頭に立つ藤田騎手が掲げるのは、女性騎手が男性騎手と同じような当たり前の存在になること。数々の女性騎手の新記録を打ち立てる“パイオニア”の存在感が際立った1日だった。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆