
JRA皐月賞(G1)ラーゴム馬主のG1初挑戦「惨敗」から10年……勝った三冠馬オルフェーヴルの仔で“20度目の正直”!?
18日、中山競馬場では皐月賞(G1)が行われる。前走のきさらぎ賞(G3)で重賞初制覇を飾ったラーゴム(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が、4戦2勝、2着2回という安定感を武器に、G1獲りに挑む。
これまでオーソクレースやヨーホーレイクなど世代トップクラスの馬たちとも互角に渡り合ってきたラーゴム。本番で騎乗する北村友一騎手は14日の最終追い切りに跨り、「相変わらず力強いですし、この馬の持ち味である長くいい脚を使えることも確認できました。身体もしっかり使えていました」と手応えを口にした。
馬主の林正道氏は、セレクトセールや庭先などで毎年15頭前後を所有。これまでJRAでは167頭をデビューさせ、半数以上の92頭が勝ち上がっている。JRAで初めて愛馬が走ったのは2010年。初年度に所有していた10頭のうち3頭が総賞金1億円を超える活躍を見せた。
取引の平均価格は2500万円ほどで、決して“爆買い”するタイプではない林オーナー。これまでの取引最高額が8400万だが、“引き”の強さには定評がある
初年度所有馬で大活躍した1頭がノーザンリバーという馬だ。デビュー3戦目にダート替わりで勝ち上がると、自己条件戦、そしてアーリントンC(G3)で芝レース初勝利。果敢に皐月賞に挑戦した。
だが、9番人気で迎えた林オーナーにとってのG1初挑戦は、スタートでやや立ち遅れ、終始後方のまま15着という結果に終わった。
この年の皐月賞は直前に発生した東日本大震災の影響もあって予定から1週間遅れ。しかも東京競馬場での開催だった。異例の1冠目を制したのは、後に3冠馬となるオルフェーヴル。ノーザンリバーは続く日本ダービー(G1)にも出走したが、その差はさらに開き4秒6差の17着という惨敗を喫している。
その後は、ダートの短距離を主戦場に移したノーザンリバー。7歳まで走り、カペラS(G3)やさきたま杯(G2)2連覇など重賞通算6勝を挙げ、引退後は種牡馬入りも果たしている。
林オーナーは、その後もその強運ぶりを発揮。代表格は3150万円で取り引きしたアルバートだ。9歳の昨年末まで現役で走り、ステイヤーとして長距離重賞を4勝。獲得した賞金額は約4億円に上った。
そんな林オーナーも17年12月のステイヤーズS制覇から、しばらくは重賞を勝てていなかった。そんなときに巡り合ったのがラーゴムだ。2月のきさらぎ賞でオーナーにとって3年2か月ぶりの重賞勝利を飾ると、G1初挑戦の思い出深い皐月賞に駒を進めてきた。
しかも、ラーゴムの父は10年前の3冠馬オルフェーヴル。震災直後の皐月賞で味わった初挑戦からちょうど10年。林オーナーにとっては、20度目のG1出走。悲願成就はなるか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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