JRA皐月賞(G1)1番人気ダノンザキッドは「何故」大敗したのか。安藤勝己氏が語った「敗因」と止められなかった負の連鎖
18日、中山競馬場で行われた牡馬クラシック開幕戦・皐月賞(G1)は、2番人気のエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が勝利。一方で1番人気に支持されたダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)は15着と、大きく明暗が分かれる結果となった。
発走1時間前を切ってから逆転した単勝オッズは、最終的にダノンザキッドが3.3倍でエフフォーリアが3.7倍。混戦ながら3馬人気アドマイヤハダルが8.8倍だったことからも、今年の皐月賞は2頭の一騎打ちの様相だった。
昨年3連勝でホープフルS(G1)を制したものの、前走の弥生賞(G2)でまさかの敗戦を喫したダノンザキッドは、安田隆行調教師の「今回はチャレンジャー精神で臨みたい」というコメントとは裏腹に、最終追い切りは併せ馬を5馬身も追走するハードな内容。やはり2歳王者にとっては、立場的にも負けられない一戦だった。
一方、3連勝で共同通信杯(G3)を勝ったエフフォーリアの最終追い切りは、横山武史騎手の「サラッと馬の感触を確かめる程度」との言葉通り、併せ馬を馬なりで2馬身追走したソフト仕上げ。
ここまで無敗だったが、横山武騎手がG1未勝利どころか、G1で人気馬に騎乗した経験がなかったことからも、チャレンジャーという立場はコチラの方がしっくりくる。
そんな両馬の立場の差が、当日の馬体重にも表れた。
数字こそダノンザキッドの-8kgに対して、エフフォーリアが-10kgと後者の方がわずかに大きく馬体を減らしていたが、元JRA騎手の安藤勝己氏が自身のTwitterで「絞った(エフ)と減ってしまった(ダノン)」と指摘した通り、本番でいよいよ引き締まった感のある後者に対して、前者はホープフルSを勝利時から-12kg。3戦連続の中山遠征で馬体を減らし続けていた。
レースではエフフォーリアが7番、ダノンザキッドが8番と、奇しくも同じ4枠からスタートした両馬。ただし、発馬直後に通った進路は「真逆」だった。
「自分が今持てるだけの技術を発揮して、この馬の能力をしっかり発揮できれば『絶対勝てる』と思って勝負に臨みました」
レース後、そう話した横山武騎手はエフフォーリアの力を信じて、ロスのない内へ。一方、スタート前に大外枠に“仮入れ”する異例の試みも空しく、イレ込みと発汗が目立ったダノンザキッド。川田騎手は1秒で速く他馬を前に置くため、先手を主張したタイトルホルダーの後ろを目掛けて一目散に外へ持ち出した。
内のエフフォーリアが4番手、外のダノンザキッドが3番手とほぼ横並びになって1、2コーナーを通過。ただ、向正面での2頭の気配は対照的で、早めに外からポジションを上げたレッドベルオーブとアサマノイタズラに絡まれる格好になって、ますます苦しくなったダノンザキッドに対して、インのポケットに入ったエフフォーリアは抜群の折り合いだった。
2頭の明暗が大きく分かれたのが3、4コーナーだ。
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