JRA 単勝「227.3倍」波乱の使者ギベオンにデアリングタクト以上の強敵!? マイラーズC(G1)苦戦必至を予感させる厳しい現実……。
25日、今年は阪神競馬場で開催されるマイラーズC(G2)。17頭が登録された別定戦で唯一、57kgを背負うのがギベオン(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
前走の金鯱賞(G2)では、3冠牝馬のデアリングタクトを破る大金星で2年3か月ぶりの勝利を飾った。その後は大阪杯(G1)に登録していたが、態勢が整わず回避。久々となるマイル戦に矛先を向け、満を持しての2連勝を狙う。
重馬場で行われた3月の金鯱賞。ギベオンは、キャリア18戦目で初めてハナを奪い、結果的にこれが功を奏した。デアリングタクトをはじめ有力馬はそろってタフな馬場に切れ味を削がれるなか、インの経済コースを通れたギベオンはマイペースの逃げ。最後はデアリングタクトの猛追にあったが、クビ差でしのぎきった。
10頭立ての最下位人気、単勝オッズは227.3倍というノーマークの穴馬的存在だったギベオン。しかし、3歳時には同じコースで行われた中日新聞杯(G3)を制覇。59kgを背負った1月の白富士S(L)では5着に入っていたように、復活の兆しを見せていた。しかも、このレースで55kgを背負い勝っていたポタジェは、金鯱賞で単勝オッズ19.8倍。金鯱賞で同じ56kgを背負ったこれら2頭と比較しても、ギベオンへの評価は低過ぎたことが分かる。
さて、ここからは単勝万馬券に焦点を当ててみる。1990年以降の芝重賞レースで単勝オッズ100倍以上の馬が勝ったのはギベオンで25頭目。1年に1頭いるかどうかという頻度だ。このうち、ギベオンを含めて、逃げ切り勝ちを収めたのは約3分の1にあたる8頭に上る。この8頭が単勝万馬券を演出したレースと、それ以降の成績を調べてみた。
・1994年きさらぎ賞/サムソンビッグ「2-2-2-19」
・2000年日経賞/レオリュウホウ「0-0-0-3」
・2004年中京記念/メイショウキオウ「1-0-0-4」
・2012年ダイヤモンドS/ケイアイドウソジン「3-0-0-15」
・2012年日経賞/ネコパンチ「0-0-0-9」
・2012年天皇賞・春/ビートブラック「0-0-0-6」
・2020年スワンS/カツジ「0-0-0-3」
・2021年金鯱賞/ギベオン「-」
8頭の中で今も現役で走っているのはギベオンと昨秋のスワンS(G2)を制したカツジの2頭だけ。カツジはその後、3戦して17、15、15着と大敗が続いている。
この中で唯一G1を逃げ切ったのが、12年の天皇賞・春を制したビートブラック。しかし、その後は6戦して、惜しい4着もあったが、すべて馬券圏外に終わった。
12年の日経賞を制したネコパンチに至っては、その後の9戦すべてが2桁着順。うち7回がしんがり負けだった。
このように、芝の重賞レースを逃げて大穴をあけた馬が再度好走することは簡単ではない。8頭のうち、引退するまでに再び勝利を挙げたのは3頭。ケイアイドウソジン、メイショウキオウ、サムソンビッグが合計6勝している。
ただし、ケイアイドウソジンとサムソンビッグの勝利はすべて障害レースで挙げたもの。そしてメイショウキオウの1勝はダート戦でのものだった。
つまり、芝レースで勝利を挙げた馬は皆無ということになる。8頭のその後の成績を芝レースに限定すると、「0-0-1-49」と壊滅的といえるだろう。
ギベオンの前走は展開と馬場に恵まれたフロックだったのか、それとも復活への序章だったのか。過去30年のデータからは前者の可能性が高そうだが……。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRAマイラーズC(G2)岩田康誠に蘇る「1番人気シンガリ負け」の苦い記憶……。ケイデンスコールを救うのは阪神開催!?
JRA【マイラーズC(G2)展望】「三度目の正直」8歳馬エアスピネルVS「単勝2万馬券」演出ギベオン! コントレイル世代アルジャンナにも要注目
JRAデアリングタクトも「回避」大阪杯(G1)優先出走権付与も問われる金鯱賞(G2)の存在意義。ギベオン回避で、まさかの勝ち馬「3年連続」本番出走なし
JRA「お騒がせジョッキー」がデアリングタクト撃破! 「裏切りフリー転身→海外修行」金鯱賞(G2)単勝227.3倍ギベオン大金星に繋がった師匠との和解
JRA 戸崎圭太「完全燃焼」で重賞奪取へ! ブラストワンピースとインディチャンプに割って入った素質馬の復活に期待