
JRAデアリングタクトも「回避」大阪杯(G1)優先出走権付与も問われる金鯱賞(G2)の存在意義。ギベオン回避で、まさかの勝ち馬「3年連続」本番出走なし
先月14日に行われた大阪杯のステップレース、第57回金鯱賞(G2)は最低人気だったギベオン(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)が、三冠牝馬デアリングタクトを抑えまさかの逃げ切り勝ち。1着賞金である6700万円と大阪杯への優先出走権を獲得した。
大阪杯でもペースの鍵を握る1頭と目されていたが、先日、中2週と間隔が詰まることを考慮し、同レースを回避するということが社台レースホースから発表された。次走は未定だという。
ギベオンの回避が決まったことにより、これで金鯱賞の勝ち馬は一昨年のダノンプレミアム、昨年のサートゥルナーリアに続いて3年連続で本番である大阪杯を回避することになる。ダノンプレミアムは安田記念(G1)へ向かうことが戦前から発表されており、サートゥルナーリアについては大阪杯を回避した正式な理由は不明だが、あるいは今回のギベオンと同じく中2週を考慮してのものだったのかもしれない。
しかし、どのような理由であったにせよ、金鯱賞は大阪杯へのステップ競走に指定されており、勝ち馬には優先出走権も付与されている。にもかかわらず、勝ち馬が3年連続で本番レースを回避してしまうようでは、金鯱賞のステップ競走としての「存在意義」も問われてしまうのではないだろうか。
「金鯱賞の勝ち馬が大阪杯への出走を見送る理由の1つに、やはり出走間隔の短さが挙げられるでしょう。近年はG1レースを目指すのであれば、直行か、あるいは一度使うにしてもその後十分に間隔を取ってから、というのが主流になっています。金鯱賞と同じく中2週で本番・天皇賞・秋(G1)を迎える毎日王冠(G2)と京都大賞典(G2)の両レースも、昨年は勝ち馬が共に天皇賞・秋を回避しています。本番を中2週で迎えるG2のステップ競走というもの自体が、もはや時代遅れなのではないでしょうか。
もう1つ、近年の金鯱賞は大阪杯へのステップレースというよりも、むしろその後に香港で行われるクイーンエリザベス2世C(G1)へのステップとしての側面が強くなっているように思われます。今年も金鯱賞に出走したデアリングタクトとキセキの2頭が、大阪杯を回避し、クイーンエリザベス2世Cに出走することが予定されています。今後も金鯱賞は大阪杯ではなく、香港への叩き台として、有力馬を抱える陣営から上手く活用されて行くのではないでしょうか」(競馬記者)
大阪杯のG1昇格に伴い、2017年から3月に開催されるようになった金鯱賞だが、それ以前は有馬記念(G1)のステップ競走として12月に、さらにそれ以前は宝塚記念(G1)のステップ競走として5月末に行われていた。結局のところJRAの番組編成に合わせて都合よく移動させられるのが、金鯱賞の役回りということになるのかもしれない。
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