JRA C.ルメール「重賞連敗ストップ」でも巻き返しは困難!? 天皇賞・春(G1)アリストテレスに立ちはだかる「勝率0.3%」の絶望
5月2日、阪神競馬場では古馬のステイヤーが集う長距離王決定戦、天皇賞・春(G1)が行われる。注目は、2018年秋から天皇賞を5連勝中のC.ルメール騎手とG1初制覇を狙うアリストテレス(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
2月に今年最初のG1、フェブラリーS(G1)を制したルメール騎手。その後は、惜しい2着はあってもなかなか重賞レースを勝てず、2か月以上にわたり重賞勝利から遠ざかっていた。重賞連敗を「15」で止めたのは先週のフローラS(G2)。クールキャットで制し、今週から始まる6週連続G1開催に弾みをつけた格好だ。
そんなルメール騎手のパートナー、アリストテレスがスター候補に躍り出たのは昨秋の菊花賞(G1)だった。無敗三冠を狙うコントレイルを徹底マークし、最後の直線では2頭によるマッチレースを展開。壮絶な叩き合いの末、クビ差及ばず2着に敗れたが、将来の活躍を期待させるには十分なレースであった。
年が明け、AJCC(G2)で重賞初制覇を飾ったアリストテレスは、天皇賞・春の最有力候補に名乗りを上げる。ところが確勝を期して臨んだ前走の阪神大賞典(G2)では、単勝オッズ1.3倍の圧倒的人気を裏切り、ディープボンドの7着に敗れてしまった。
「ルメール騎手はレース後に『敗因は馬場(重)かもしれない』と悔しさをにじませていました。ただ2走前のAJCCでは不良馬場を難なくこなしており、(敗因は)馬場だけではなかったと思います。陣営は、道中少し引っ掛かったことでスタミナを消耗したことも敗因に挙げていました。前走からさらに距離が延びる今回、道中しっかり折り合えるかどうかがカギになるでしょう。ただし、前走で負け過ぎているのは気掛かりです」(競馬誌ライター)
前走で7着に敗れたアリストテレスだが、ファンからは引き続き高い支持を得ている。27日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは、ディープボンドと3倍台で拮抗しており、前走の敗戦を度外視するファンも少なくない。
しかし、過去のデータを掘り起こすとこの大敗がアリストテレスに重くのしかかりそうだ。
注目したのは、ディープボンドにつけられた「2秒2」という着タイム差だ。1990年以降、芝のG1レースに出走した馬の中で前走を2秒2以上の差で負けていたのはのべ288頭。そのうちG1制覇を遂げたのは1頭だけ。その成績は「1-9-9-269」で、勝率にするとなんと「0.3%」という絶望的な数字が残っている。
2着と3着は9回ずつで、まだ可能性はありそうだが、過去の傾向から勝ち切るのは至難の業といえるだろう。ただし、大敗から巻き返しに成功した唯一の例が2012年の天皇賞・春で生まれていた。
9年前にロングスパートで逃げ切ったビートブラックだ。アリストテレスと同じ前哨戦の阪神大賞典に出走していたビートブラックは、12頭立てのレースでギュスターヴクライから実に4秒0差の10着に敗れての臨戦。当然、本番でも全く人気はなく、18頭立ての14番人気だった。しかし、それを逆手にとっての逃げ切り勝ちは今でも波乱のレースとして語り草となっている。
1990年以降、前走2秒2差以上大敗からの巻き返しはこの1例だけ。アリストテレスは勝率0.3%という絶望的なデータをはねのけ、勝利を飾ることはできるか。
PICK UP
Ranking
5:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 【天皇賞・春】「横山典弘マジック」に翻弄された敗戦の弁?大敗でも爪痕残した名手の存在感…テーオーロイヤル、ディープボンドの好走にヒント
- 【オークス】石川裕紀人が滑り込みでラストチャンスをゲット!?血統的に距離延長歓迎の穴候補に浮上…カワカミプリンセス、カレンブーケドールに続けるか
- 「信じた俺がアホ」天皇賞・春(G1)大本命テーオーロイヤル優勝も「自信の1点勝負」は空振り…藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
- 【天皇賞・春】ドゥレッツァでもタスティエーラでもない光明!? レベル疑問の4歳世代に「惑星ステイヤー候補」が登場
- 日本ダービー馬は運が良いだけ!? 天皇賞・春(G1)J.モレイラ「完璧騎乗」もタスティエーラ惨敗の絶望感…G1「2勝以上」上積みは2007年ウオッカが最後
関連記事
JRA的場均「絶好調なら絶対に選ばなかった乗り方」淀に咲き、淀に散ったライスシャワー!天皇賞・春(G1)2年ぶり勝利も待ち受けていたのは……
JRA 田原成貴に導かれたマヤノトップガンが乾坤一擲の大逆転! 天皇賞・春(G1)横山典弘、武豊相手に一世一代の勝負を仕掛けた撃墜王の伝説
JRA 天皇賞・春(G1)武豊アドマイヤグルーヴ挑戦も霞む「豪州史上最強牝馬」参戦に揺れた16年前の記憶。日本のステイヤーたちを震え上がらせた「魔界」からの使者とは
JRAの「水まき疑惑」に揺れた横山典弘&ゴールドシップ“まさか”の天皇賞・春(G1)制覇……メディアにも出回らなかったレース当時、何があったのか
JRA「長距離は騎手」安定感は武豊、C.ルメール以上!? 天皇賞・春(G1)「ディープインパクト産駒とは無縁」知る人ぞ知る長距離の達人とは