JRA的場均「絶好調なら絶対に選ばなかった乗り方」淀に咲き、淀に散ったライスシャワー!天皇賞・春(G1)2年ぶり勝利も待ち受けていたのは……
※本記事は2020年に公開された内容の再掲載です。
今を遡ること25年前、1995年の天皇賞・春(G1)を関東の名手・的場均騎手(当時)とのコンビで制したのが「淀を愛した、孤高のステイヤー」ライスシャワーだった。
近年は距離体系が整えられたこともあり、時代の変化とともにスピード重視の時代となった。そのため、以前に比べて最強馬が長距離である天皇賞・春に出走することは少なくなりつつあるが、当時は春の王道の最高峰として多くの実力馬が出走していた時代だ。
このときのライスシャワーは93年の春の天皇賞の勝利を最後に2年間で9戦するも未勝利。ナリタブライアンが勝利した94年の有馬記念(G1)を3着して復調気配を見せたが、年明けの京都記念(G2)、日経賞(G2)をいずれも1番人気に支持されながら6着と敗れていた。そのため、唯一のG1ホースでありながらも天皇賞では4番人気の評価に甘んじた。
だが、的場騎手がライスシャワーと試みた「賭け」が最高の結果を導くことになる。
レースでは3コーナー先頭から仕掛けて粘り抜くという、一見「非常識」に思えるロングスパートを敢行し、追い込んだステージチャンプが並びかけたところでゴールした。勝てば初G1勝ちとなる同馬の鞍上・蛯名正義騎手が派手なガッツポーズを見せたため、誰もがステージチャンプの勝利を疑わなかった。
的場騎手は後に「あの騎乗は、もしライスシャワーが絶好調だったら絶対に選ばなかった乗り方だ。でもそのまま無難にのっていたら、おそらく着がいいところだったと思う」と振り返っている。
写真判定の結果、わずか約10cmという僅差で先着しており、93年の同レース以来728日ぶりとなる勝利で復活を果たした。
「勝つ確率が、あの乗り方なら少しは高くなる。その一点に賭けて、僕らは勝ちに行ったのだ」という言葉の通り、的場均とライスシャワーのコンビが「賭け」に勝った瞬間だった。
だが、ライスシャワーがスポットライトを浴びた時間はあっけなく終わりを遂げる。
天皇賞の激走で疲れが見られたこともあり、放牧も考えられていた。しかし、宝塚記念のファン投票で1位に選出されたことや、阪神・淡路大震災の影響から阪神競馬場ではなく京都での開催となっていたことが決め手となって宝塚記念出走を決定した。そして、宝塚記念のレース中に骨折したライスシャワーは、予後不良となり、その競走生活の幕を下ろしたのであった。
ライスシャワーが「主役」でいられたのは、ほんのわずかな間でしかなかったのかもしれない。
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