JRA「頭の中を見てみたい」武豊ですら手を焼いたエアシャカール! 天皇賞・春(G1)テイエムオペラオーを倒して挑んだ大一番、「最弱」といわれた二冠馬のあくなき挑戦
手の内に入れていた主戦の交替を不安視する声もあったが、当時無敵を誇ったテイエムオペラーに真っ向勝負を挑んで最後の直線では競り落とした。ゴール前で9番人気の伏兵トーホウドリームの強襲に遭いって2着。敗れたとはいえエアシャカールは休み明けで59キロの酷量だったことを考慮すると、復調を感じられるには十分な走りだったといえる。
そして迎えた大一番・天皇賞・春。テイエムオペラオーが前哨戦を取りこぼしたことで、人気は1強から4強へ変化。ナリタトップロードが2番人気、メイショウドトウが3番人気と続き、エアシャカールは4番人気に支持され、上記4頭が単勝一桁台のオッズ。5番人気アドマイヤボスは21.6倍と大きく離された。
世代交代を目論んだ一戦でエアシャカールは中団につけたテイエムオペラオーを外からマークする形。セイウンスカイ、タガジョーノーブル、サンエムエックスの3頭が4番手以降を大きく離して飛ばして縦長のハイペースとなる展開。3コーナーから動いたナリタトップロードに合わせるようにテイエムオペラオーもポジションを上げて、エアシャカールも追撃に入る。
しかし、見事な復活勝利を見せた絶対王者に対し、エアシャカールはついていけないまま8着での入線。半年前、菊花賞で勝利の美酒に酔った舞台で屈辱を味わう結果に終わった。その後も宝塚記念(G1)を5着に敗れると、1勝も挙げられないまま現役生活を引退した。
前後の世代相手に勝てなかったこともあり、「最弱の二冠馬」といわれることもあるエアシャカール。あの武豊騎手でさえ「頭の中を見てみたい」、「サンデーサイレンス産駒の悪いところが全部集まったような馬だった」と評した強烈な個性は『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)内でもいろいろな意味で存在感を放ち続けている。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ジャパンCはノーザンファームに逆らうな?武豊×ドウデュース、ルメール×チェルヴィニア、さらに社台グループの意外な隠し玉が出走?
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- C.スミヨン騎手「サンデーが拒否」原因はC.ルメール騎手? ドバイターフ(G1)リアルスティール「鞍上ドタバタ劇」の裏事情
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
関連記事
JRA C.ルメール「重賞連敗ストップ」でも巻き返しは困難!? 天皇賞・春(G1)アリストテレスに立ちはだかる「勝率0.3%」の絶望
JRA的場均「絶好調なら絶対に選ばなかった乗り方」淀に咲き、淀に散ったライスシャワー!天皇賞・春(G1)2年ぶり勝利も待ち受けていたのは……
JRA 田原成貴に導かれたマヤノトップガンが乾坤一擲の大逆転! 天皇賞・春(G1)横山典弘、武豊相手に一世一代の勝負を仕掛けた撃墜王の伝説
JRA 天皇賞・春(G1)武豊アドマイヤグルーヴ挑戦も霞む「豪州史上最強牝馬」参戦に揺れた16年前の記憶。日本のステイヤーたちを震え上がらせた「魔界」からの使者とは
JRAの「水まき疑惑」に揺れた横山典弘&ゴールドシップ“まさか”の天皇賞・春(G1)制覇……メディアにも出回らなかったレース当時、何があったのか