JRA 古川奈穂騎手「手術決断」へ……現在新人リーディングも、復帰までに約6ヶ月か。かつて同じ箇所に苦しんだアスリートには「あの大横綱」の名前も
再びターフに戻ってくる姿を心待ちにしたい。
先月25日のレース後、左肩の違和感により無期限の休養に入っていた古川奈穂騎手。手術も視野に入れているとのことだったが先日、自身の公式Instagramを更新し、手術の決断をしたことを明らかにした。
Instagramには自身のサインや、パドックでバスラットレオンに跨る写真と共に、「ご心配をおかけしております。万全な状態で競馬に臨むために、手術を受けることに決めました」と投稿。復帰時期は未定とのことだが、5~6ヶ月後になる見込みだという。
古川奈騎手は今年3月、藤田菜七子騎手以来5年ぶり、栗東では西原玲奈騎手以来、実に21年ぶりとなる女性騎手としてJRAデビュー。師匠である矢作芳人調教師の管理馬バスラットレオンで初勝利を挙げたことを皮切りに、ここまで新人トップの6勝をマークしていた。
所属する矢作厩舎の馬以外にも騎乗する機会は多く、JRA賞の最多勝利新人騎手も狙える位置に居ただけに、今回の離脱は相当痛いものがありそうだ。
問題となっている左肩の違和感であるが、恐らくは脱臼だと思われている。古川奈騎手はもともと関節が柔らかく、競馬学校時代にも左肩の怪我で手術を受けており、そのときは3ヶ月間の休養を要した。なお、そのために進級試験を受けることができず、競馬学校を留年するという憂き目にもあっている。
いまのところ最後の騎乗日となっている先月25日の新潟7Rでは、しきりに肩をグルグルと回す姿がパトロールビデオでも確認できる。仮に馬群が密集した箇所やコーナーなどで違和感が生じれば、馬を御すことが出来なくなり最悪の場合、事故にも繋がりかねない。
師匠である矢作師も、「万全でなければ迷惑をかけることになる。プロとして完全な形でなければ、中途半端ではダメだと思う」と話しており、今回手術を決断するに至ったのもある意味では仕方のないところだったのかもしれない。
また、かつて左肩の怪我で苦しんだアスリートといえば「ウルフ」の愛称で親しまれた大横綱、千代の富士関がいる。
左肩の脱臼癖に悩んでいた千代の富士関は、医師から「手術を受ければ半年間は稽古ができなくなる」と告げられたため、1日500回の腕立て伏せを自らに課し、弱点部の補強に取り組んだという。その過程で全身もパワーアップし、結果最強の横綱へと上り詰めることとなった。あの鋼鉄のような肉体は、もともとは左肩の脱臼癖を克服するために誕生していたのである。
古川奈騎手はInstagramに、「パワーアップして復帰出来るように頑張ります!!」とも綴っている。デビュー前から話題になっていたこともあり、競馬ファンの間でもすでに有名だが、またデビューしてからわずか2ヶ月。ここからが本当の騎手人生と言えるだろう。
かつて脱臼癖を糧に最強まで上り詰めた千代の富士関のように、古川奈騎手にもぜひパワーアップして戻ってきて欲しいものである。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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