真剣勝負の裏にある真実に斬り込むニュースサイト・GJ
GJ
真剣勝負の真実に切り込むニュースサイトGJ
NEW
2016.04.13 16:22
勝負とは、生きるとは――新刊『ミルコ・デムーロ×クリストフ・ルメール 勝利の条件』で描かれる「異国のサムライ」の本質
編集部
一方、ルメール騎手はその騎乗と同様、常に「冷静さ」を感じさせるトークを展開。日本競馬とフランス競馬の違い、日本人騎手と競走馬のレベルの向上、さらには生きていく上での心の持ちようまでを語る。フランスを代表する調教師であるアンドレ・ファーヴル氏の厩舎に身を置いた10代、オリビエ・ペリエやティエリ・ジャルネという欧州屈指の名手とともに過ごした日々に関する内容は、競馬ファンとしては見逃せない。常に貪欲に技術を吸収し、研究に余念がないルメール騎手の性格が垣間見れる。
本書を読むと、2人が互いを尊敬し合い、異国の地で活躍する「同士」として見ているのがよくわかる。それでいて、競馬への考え方や性格はまるで「正反対」なのだ。2人の文章を交互に読んでそれを楽しむことこそがこの本の醍醐味といえる。そして、生き方そのものが彼らの「勝負師」としての強さを醸成しているのが理解できる。
最後に、特に印象に残ったデムーロ騎手、ルメール騎手の文をそれぞれ紹介したい。
デムーロ騎手
「リーディングというのは、目標のひとつであっても目的ではない。だから『獲れたらサンキュー』くらいの気持ちでやっていくことが良いと考えている。哲学的なことを言うようだけど、そのくらいの気持ちでいることが、かえって獲得できることになるんじゃないか……って、そう考えているんだよ」(本書162頁)
ルメール騎手
「いまの時代、収入ばかりを考えて、忙しいわりに見返りが少ないとすぐに投げ出してしまう人が多いみたいです。でも、僕はジョッキーに成り立ての頃、毎朝4時半から馬房の掃除をして、それ自体はまったくお金にならなかったけど、早く一流のジョッキーになりたいと思ったから情熱を持って一所懸命にやっていました。そういったことの積み重ねで、現在、こうやって日本でたくさんの良い馬に乗せていただけるようになったのだと思います」(本書109頁)
単なる競馬の勝利論ではない。生き方やメンタル、強靭な意志を持つ異国の”サムライ”2人の思想を惜しみなく引き出し、まとめた一冊といえる。必読。
(文=編集部)
PICK UP
Ranking
11:30更新
【香港C(G1)展望】BC制覇の偉業から1か月、ラヴズオンリーユー有終の美へ!レイパパレはC.スミヨンと新コンビ、最大のライバルは最高レーティングの英国馬
JRAノーザンファーム時代終焉へ「16億円」大勝負の“答え”が今週末に!? 「33億円の悲劇」から26年……日高関係者の“命運”を背負った良血がついにデビュー!
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「庭先取引」の問題点を一変させたセレクトセール!億超え馬を落札する名物オーナーたちも登場…オープンでフェアな取引に多大な貢献【競馬クロニクル 第63回】
- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- 最強社台グループに「侍」が挑戦状!? 苦戦が続く馬産地・日高再興へ「ハナズ」のM.タバート氏が新1口馬主クラブ設立!
- JRA 社台ファームが空港建設の立ち退き!? 千葉から始まった伝説……社台グループ「サンデーサイレンス」を超える2つの歴史的僥倖とは
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か















