JRA「関東の有望株」は横山武史だけじゃない!? 先輩騎手の厳しい当たりにも怯まない若き勝負師の顔、「脱臼」古川奈穂にもフォロー…… 夏の菅原明良に飛躍の予感
デビュー3年目の若手・菅原明良騎手にとって、飛躍の1年となっている。
先週の開催を終え、早くも35勝を挙げて自己記録を更新した。31勝のデビュー年、30勝だった2年目の昨年から勝利数は大幅増。2月の東京新聞杯(G3)では重賞初勝利も飾っている。全国騎手リーディングでも堂々の14位と申し分ない成績。上半期でこの調子なら後半も大いに期待できそうだ。
菅原騎手はデビュー前から評価も高く、高木登調教師のバックアップもあって初年度から好成績を収めた。一時、落馬などの影響で馬込みを怖がるというか、捌けない時期もあったが、昨秋くらいからそういった点も克服してローカル開催で頭角を表し、ついに今年の新潟ではリーディングを手に入れた。
「関東は長らくベテラン勢が幅を利かせていましたが、横山武史騎手に次ぐポジションを確立しつつあります。前開催は東京で騎乗していましたが、度々人気薄を上位に持ってくるなど、かなり存在感がありました。
ベテラン勢が暑さや斤量を理由に騎乗数を制限する中で、常に1日10鞍前後の騎乗馬が集まっています。これには本人も『1日12鞍の全鞍騎乗もしたのですが、さすがにきつかったですね。最後はバテバテでした。ただ、それだけ多くの依頼を頂いているので、しっかり体力をつけて常にベストな騎乗ができるようにしたいです』と謙虚な回答でした」(某TM)
とはいえ、そんな好青年も勝負となると話は別で競馬となると性格が変わる。
「先輩騎手相手にも怯まず挑んでいるのは好印象です。以前、レース中に進路を意図的に締められたり、馬をぶつけられた時には『僕が後輩だからって舐められました。絶対に許せない。後でやり返します』と凄い形相でした。そういった反骨精神、勝ち気な性格は勝負師向きですよ。それは後輩の騎手に対しても同じです。
今年の新潟ではちょっとした事件もありました。デビューしたばかりの古川奈穂騎手がレース中に肩が外れるアクシデント。その直後にいた菅原騎手は上がってくるなり、『危ないじゃないか!大事故になったらどうするの⁉そんな状態で乗っちゃ駄目だよ』と厳しく叱責。周りのジョッキーも菅原明があれだけ怒るのは珍しいと話していました」(同)
その一件が手術の後押しになった訳ではないだろうが、古川奈騎手はその後に手術を決断。実は菅原騎手自身も落馬で周りに迷惑を掛けたり、大怪我をしている経験もあったので余計に過敏になっていたのかもしれない。
とはいえ、競馬終わりには古川奈騎手にしっかり説明して、フォローもしていたというから、決して感情だけに任せた発言ではなかったようだ。
最近では関西の有力厩舎から騎乗依頼も増えるなど、ノーザンファーム天栄の場長からの信頼度も上がっていると聞く。最近の若手のように浮かれた言動も見られないので、このまま結果を出し続ければ、秋には大舞台での活躍も期待できるだろう。
中山競馬場の前でお店をやっている両親も息子の今後が楽しみで仕方がないのではないか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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