関東の「ダークホース」が武豊、C.ルメールをぶっこ抜き!? 函館リーディング独走の地味ジョッキーを後押ししたものとは…… 大躍進を遂げた中堅騎手に要注目!
7月に入り、本格的に始まった夏競馬も2週目の開催が終了。各地で早くも苛烈なリーディングジョッキー争いが繰り広げられている。
現在開催中の競馬場は小倉、福島、函館の3場。103勝を挙げて騎手リーディングを独走しているC.ルメール騎手は、暑さを嫌って涼しい北海道を拠点に選択。その他の上位では2位の川田将雅騎手、3位の福永祐一騎手、4位の松山弘平騎手は小倉へ。福島は少々手薄な状況となっている。
先週の日曜に1日3勝を挙げて復調気配の武豊騎手はトータルでも5勝で池添謙一騎手とタイ、ルメール騎手の4勝を上回った。
そんな中、意外と言っては失礼かもしれないが、7勝を挙げて函館開催の単独トップに躍り出たのが、リーディング13位の大野拓弥騎手だ。4日間を皆勤したリーディング上位騎手に対し、大野騎手は開幕週の日曜は福島に参戦しており、1日少ない中での7勝と、その中身は濃い。
どちらかというと関東でも地味なタイプの“ダークホース”に、どのような変化があったのだろうか。
「エージェント効果で騎乗に専念できている事が大きいようです。北海道の開催は、滞在で連闘や中1週が当たり前の状況。その中で依頼があっても、今週の馬の結果次第でコロコロ予定が変わるため、自分で管理するのは至難の業ですから。
上手く管理していないと、同じような番組も多い中で上手に捌けずに、他の騎手へ依頼が流れる事も珍しくありません。今までは、騎乗を終えた日曜日から火曜日までもオフにならず、電話がちょくちょく鳴っていたそうです。
そういった雑用というか、報告義務などを全て自分でこなしていた訳ですから、心身の疲労は半端なかったと思います。人気の盲点になりがちなので、馬券的には美味しい騎手でしょう」(競馬記者)
また、別の側面からは、大野騎手と同じエージェントの横山武史騎手が昨年程の存在感がなくなっているともいえる。結果を出したことで、横山武騎手はルメール騎手に次ぐノーザンの2番手的なポジションで抑えられている事情もあり、本来は騎乗できる馬が大野騎手に流れているのかもしれない。
こういった裏事情も大野騎手の好調の要因だろうし、横山武騎手が調子を上げてくれば、相対的に大野騎手の勢いにも翳りが出る可能性もある。
終わってみれば、最終的なリーディングはルメール騎手というオチも考えられるが、重賞に比べると下級条件はモチベーションが低いのか、パッとしないことも多い。既にトップの地位を築いているだけに、ルメール騎手が涼しい気候の中で気分良く競馬に挑めればくらいの感じなら付け入る隙は十分。
この勢いで大野騎手がトップを守るのか、それともライバル騎手が盛り返すのか、怪我から調子を上げてきた武豊騎手の完全復活もあるかもしれない。
今週も目が離せない函館開催になりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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