JRA M.デムーロ「お手本」騎乗に三浦皇成は赤っ恥!? かつての悪童が優等生に変身、「悪いこともしなかった」元パートナーの遠ざかる背中に何を思ったか
25日、新潟競馬場で行われた10Rの糸魚川特別(2勝クラス)は、1番人気の支持を受けたランドオブリバティ(牡3、美浦・鹿戸雄一厩舎)が人気に応えて快勝。昨年10月の芙蓉S(OP)以来となる3勝目を挙げた。
12頭立ての芝1800m戦。2番手の好位につけたランドオブリバティは、逃げ馬の刻んだ1000m通過61秒2のスローペースをリズムよく追走。最後の直線に入り、残り400m過ぎから馬なりで先頭に立つと、デムーロ騎手が軽く追っただけ大楽勝。タガノディアーナが2着に追い上げたが、1/2の着差以上の余裕があった。
「直線も馬なりで、抜け出したらソラを使ったけど、手応えはずっと抜群だった。悪いこともしなかった」
完璧な騎乗を見せたM.デムーロ騎手は、癖のあるランドオブリバティで初コンタクトながら一発回答。後方のまま9着に敗れたファユエンに騎乗していた三浦皇成騎手は、遠ざかっていく元パートナーの姿に複雑な思いを抱いたに違いない。
三浦騎手とのコンビでデビューから2戦を連勝し、クラシック候補の一角といわれたランドオブリバティの歯車が狂ったきっかけは昨年のホープフルS(G1)だった。
ダノンザキッドに次ぐ2番人気に推されたこのレース。アクシデントが発生したのは、最終コーナーに差し掛かったタイミング。絶好の手応えで先頭を走っていながら、急激に外側へ斜行し、コースを逸走して外ラチへ走り出すランドオブリバティ。鞍上の三浦騎手は落馬してまさかの競走中止となった。
その後、平地調教再審査に合格したランドオブリバティと三浦騎手は、復帰戦となったきさらぎ賞(G3)で再コンビを結成したものの、事実上の追試は100点満点といえる結果ではなかった。
逃げて逸走した前走の苦い記憶が脳裏から離れなかったのか、三浦騎手とランドオブリバティは11頭立ての芝1800m戦で後ろから2番手の消極的に見える競馬。最後の直線で上がり3ハロン最速の末脚を繰り出すも、スローペースを先に抜け出していたラーゴムから3馬身半以上も離された3着と完敗を喫してしまう。
スプリングS(G2)ではついにデムーロ騎手への乗り替わりも発表されたが、デムーロ騎手の騎乗停止によりコンビ続行となったものの、7着に敗戦。クラシック参戦が叶わず、石橋脩騎手とのコンビでNHKマイルC(G1)へ向かったが、ここでも8着と精彩を欠いていた。
「右回りに課題を残しているものの、悪童からすっかり優等生に変身したかのようなレースでした。今回、左回りの新潟だっただけにまだ油断はできないかもしれませんが、デムーロ騎手のスムーズな騎乗は目を引きました。
オークス(G1)をユーバーレーベンで制し、復調気配の見えるデムーロ騎手にとって、心強いお手馬となりそうです。三浦騎手には気の毒な結果でしたが、まだまだチャンスはあるはずです。この苦い経験を糧にまた頑張って欲しいですね」(競馬記者)
前走の乗り替わりで事実上の“クビ”となった格好の三浦騎手に対し、まるで“お手本”のような騎乗で勝利へと導いたデムーロ騎手。元主戦の三浦騎手は赤っ恥をかかされるような思いだったのではないだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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