
JRA 「4×3」は12じゃなく18.75!? エフフォーリア、デアリングタクトにも共通点…… 総落札額「40億円超」セレクションセールで注目したい4頭
27日、新ひだか町にある北海道市場で、日高軽種馬農協主催の1歳馬のセリ「セレクションセール」が開催。総落札額は昨年を上回る40億1577万円(以下、金額は全て税込)となり、同セールの最高記録を更新した。
売却率も2019年の83.5%を塗り替える86.32%となり、平均価格や中間価格も含め過去最高を上回るレコードずくめの結果。トレーニングセールに引き続き現場とネットでのハイブリッド方式が採用され、オンラインビットでも8頭が落札されたように新たな試みが功を奏した結果でもあるだろう。
セレクションセールは過去の取引馬としてG1・10勝のホッコータルマエを筆頭に、16年の高松宮記念(G1)を制したビッグアーサーや08年のJRA賞最優秀2歳牡馬に選出されたセイウンワンダーがおり、近年でもアルクトスが20年の南部杯(G1)を優勝。もちろん、今年の取引馬からも未来のG1ホースが誕生することに期待が膨らむ。
今年は、4000万円以上の高額で取り引きされた産駒が12頭。シルバーステートやドレフォンなどの2歳戦で好調な新種牡馬産駒も注目を集めたが、中でも人気ぶりをアピールしたのがエピファネイア産駒だろう。
当セリ市で最高額となったのはスリーアローの2020(牡)で6600万円。落札額5940万円で2位となったスマッシュの2020(牡)も含め、落札額上位12頭中5頭がエピファネイア産駒だった。
今年で3年目のシーズンとなるエピファネイア産駒だが、初年度から牝馬三冠のデアリングタクトや菊花賞(G1)2着のアリストテレスを輩出。昨年は皐月賞馬となったエフフォーリアが誕生しており、その評価はうなぎ上りである。
そんなエピファネイア産駒だが、活躍馬の多くに見られるのがサンデーサイレンスのインブリード。エフフォーリア、デアリングタクトらはもちろん、賞金上位の馬たちの殆どが「サンデーサイレンスの4×3」というクロスを持ち合わせているのだ。
この「4×3」(「3×4」も含む)という同一祖先が全体の18.75%を占める血の割合は、以前から「奇跡の血量」と呼ばれており、過去の名馬には不思議と多く見られる。古くは昭和35年に無敗でクラシック二冠を達成したコダマが「ブランドフォードの4×3」で、近年ではオルフェーヴルも「ノーザンテーストの4×3」であった。
「エピファネイアの母は日米オークスをともに制した名牝シーザリオで、その父はサンデーサイレンス産駒のスペシャルウィークですから4代遡るとサンデーサイレンスに行きつくことになります。つまり『サンデーサイレンスの4×3』を作ろうとすると、母方の3代前にサンデーサイレンスの血が必要となるわけですね。
エフフォーリアは母父がハーツクライ、デアリングタクトは母母がデアリングハートで、どちらも3代前にサンデーサイレンスの血が入っています。近年は母父ディープインパクトも増えていますから、エピファネイアは今のトレンドにぴったりとハマった種牡馬といえるのではないでしょうか」(競馬記者)
確かにエピファネイア産駒を収得賞金順に調べてみると、上位8頭が「サンデーサイレンスの4×3」に該当。今回のセレクションセールでも4000万円以上で取り引きされたエピファネイア産駒5頭の内、4頭がこれを保有していた。
スリーアローの2020(牡)
スマッシュの2020(牡)
アガサの2020(牡)
スイートハートの2020(牝)
デアリングタクト、エフフォーリアとクラシックウイナーを輩出するエピファネイア。再来年のクラシックでも「サンデーサイレンスの4×3」を持った上記4頭の活躍に期待したいところだ。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
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