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JRA柴田善臣「キングヘイローの孫」メイショウムラクモで最年長重賞記録更新! 独り歩きした「G1」1番人気を裏切った“汚名”から21年……開かれたダート王への道

JRA柴田善臣「キングヘイローの孫」メイショウムラクモで最年長重賞記録更新! 独り歩きしたG1「1番人気」を裏切る汚名から21年……開かれたダート王への道の画像1

 8日、新潟競馬場で行われたレパードS(G3)は、1番人気のメイショウムラクモ(牡3歳、美浦・和田勇介厩舎)が勝利。先月30日に55歳の誕生日を迎えた柴田善臣騎手は、55歳0カ月10日でJRAの最年長重賞勝利記録を更新となった。

「大事なところでステッキを落とし、あまり格好いい勝ち方ではなかったけど……」

 レース後、柴田善騎手がそう話した通り、最後の直線入り口でムチを落としてしまう、まさかのアクシデント……。

 ただ、そんな大ベテランのピンチを救ったのが、相棒メイショウムラクモの力走だ。柴田善騎手のエスコートに導かれるまま逃げ粘るレプンカムイを競り落とすと、最後は2着スウィープザボードの追撃を振り切って、待望の重賞勝利を手にした。

「最後の直線に入っても、なかなかムチを打たなかったので『どうしたのかな?』と思いましたが、まさか落としていたとは……。大ベテランとしては珍しいミスですが、2015年の新潟記念(G3、ミュゼスルタン)以来、久々の重賞1番人気でしたし、柴田善騎手としても思うところがあったのかもしれませんね。

いずれにせよ、本人も『周りが一生懸命言ってくれて、おだててくれる』と話していましたが、今週ずっと最年長重賞の話題で注目されていただけに、柴田善騎手としてもホッとしているでしょうね。記録更新、おめでとうございます!」(競馬記者)

 柴田善騎手は今回の勝利で、元JRA騎手の岡部幸雄氏が持つ54歳0カ月31日を抜いて、JRA最年長重賞勝利記録を更新。ちなみに岡部騎手が最年長記録を更新した2002年のステイヤーズS(G2)のホットシークレットも1番人気だった。

「関係者の100%の力ですね。私は乗っているだけで、今日はちょっと邪魔しちゃいましたけど(笑)」

 ちなみにメイショウムラクモは、2000年に柴田善騎手とのコンビで高松宮記念(G1)を制したキングヘイローを母の父に持つ。そんな血統の縁も、記録達成の後押しになったかもしれない。

「柴田善騎手とのコンビで2000年の高松宮記念を制したキングヘイローですが、実はG1で唯一1番人気になったのが、前走のフェブラリーSでした。

キングヘイロー自身は何のダート実績もないどころか、初のダート挑戦。しかし、母のグッバイヘイローが米国ダートでG1を7勝した世界的な名牝ということで、ファンから高い期待が集まっていたというわけです。

しかし、肝心のレースでは1枠2番に入ったこともあって、序盤から砂を被る初ダート馬には厳しい展開……結局、何もできずに13着に大敗しています。

柴田善騎手にとっても苦い経験になったと思いますが、その孫のメイショウムラクモでダートの重賞を勝って最年長記録更新とは、オールドファンにとっても感慨深いものがあります。理由はわかりませんが、今年は母父キングヘイローの馬の活躍が目立っていますね」(別の記者)

 記者がそう話す通り、今年は母父キングヘイローが重賞で大活躍。シンザン記念(G3)のピクシーナイト、阪神大賞典(G2)のディープボンド、ヴァイスメテオールのラジオNIKKEI賞(G3)、そして今回レパードSを勝ったメイショウムラクモで4勝目だ。

 種牡馬として決して大成功したとは言えないキングヘイローだけに、血の希少性を鑑みれば異様な活躍ぶりといえるだろう。

「まだ(馬は)ふっくらしそうな部分も残っているので、まだまだこれから力をつけていくと思います」

 レース後、そう柴田善騎手が期待を寄せたメイショウムラクモ。目指すは12月のチャンピオンズC(G1)、そして祖父キングヘイローが屈辱を味わったフェブラリーS制覇だ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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