JRA武豊や柴田善臣に記録を塗り替えられた「第一人者」にクローズアップ! 時代に風穴を開けた偉大な先駆者が残した2つの功績
8日の新潟11RレパードS(G3)で優勝した柴田善臣騎手。55歳0ヶ月10日での重賞制覇は、2002年のステイヤーズS(G2)を54歳0ヶ月31日で制した岡部幸雄元騎手のJRA最年長重賞勝利記録を塗り替えた。
また、去る2019年11月30日の阪神競馬では、当時50歳の武豊騎手が1日3勝をマーク。同年のJRA年間勝利数を104勝として、岡部元騎手が2000年に記録した103勝を上回り、JRAの50代騎手の年間最多勝記録を更新している。
このように、年齢にまつわる記録が塗り替えられるときには、必ずといってよいほど名前 が挙がる岡部元騎手。今回、柴田善騎手が更新したように、記録というものはいつか誰かに抜かれる運命にある。
今後も岡部元騎手の記録が全て破られたとき、かつての輝きは消え失せてしまうのだろうか。
いや、決してそんなことはないと断言できるほど、岡部元騎手が日本の競馬界に残した功績は大きいといえる。今回は柴田善騎手が岡部元騎手の記録を更新した今だからこそ、あえて成績や記録ではわからない、岡部元騎手の偉大な功績を紹介したい。
ひとつめは“海外挑戦”の先駆者となった点だ。
岡部元騎手が初めて海外競馬に触れたのは、今から50年も昔の話。1971年のオークス(G1)を制したご褒美で、米国カルフォルニアのサンタアニタ競馬場を訪れた際に、騎手のレベルの違いにカルチャーショックを受けたという。
過去の雑誌インタビューでは、「騎乗フォームはもちろん、馬に対する接し方もまるで違った」と告白。その後も年末年始のオフを利用して、積極的に海外渡航を繰り返し、騎乗馬がいなくても現地で調教をつけ、厩舎の仕事を手伝った。
しかも、その渡航費などは全て自費。当時は「アメリカかぶれ」など、陰口を叩かれたという岡部元騎手。こうした行動や、培った経験が、1998年のタイキシャトルでのジャックルマロワ賞(仏・G1)優勝に繋がっていく。
日本調教馬の歴史的な転換期ともいわれるタイキシャトルの仏G1制覇。普段はクールな岡部元騎手もこのときばかりは“男泣き”。現在は米国だけでなく、欧州の競馬場まで日本人騎手が騎乗に出掛け、勝利することが珍しくなくなった背景には、岡部元騎手のチャレンジを抜きに語ることはできない。
もうひとつの功績は、こちらも今では当たり前となった、厩舎に所属しない“フリー騎手”の先駆けになった点だ。
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