1着賞金「360万円」もプライスレス!? 若手にも受け継がれる「武豊イズム」、海外重賞への挑戦に坂井瑠星が夢見るものとは

19日夜、いよいよ凱旋門賞(G1)へ向け、フランスに出国するディープボンド。9月12日のフォワ賞(G2)を前哨戦に、10月3日の凱旋門賞に向かう予定となっている。
一方、注目度は劣るものの、エントシャイデン(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)もこれに帯同。フォワ賞の同日に行われるパン賞(G3)に坂井瑠星騎手とのコンビで参戦予定だ。
重賞ながら1着賞金は約「360万円」というパン賞。日本の未勝利戦(1着賞金:510万円)よりも低い金額だが、坂井騎手はこのオファーに喜んだ。『スポーツ報知』の取材に対し「乗せていただけると聞いて、オーナーに連絡したところ『頼むぞ』と。迷わず『行かせてください』と答えました」とコメントしている。
これは、坂井騎手にとってフランスでの競馬が、“賞金以上に価値がある”ことの証明だろう。
現に、坂井騎手は「フランスと言えば凱旋門賞。どのホースマンにとっても憧れでしょう。僕もいつか、あの夢の舞台に立ちたい。その時がきた時、今回乗った経験があれば違うはずです。ですから、機会をいただけたのは、ありがたいと思っています」と、この騎乗依頼に感謝を述べている。
坂井騎手は、過去にも多く海外での騎乗経験があり、2017年よりオーストラリアでの自主研修を開始すると、翌18年には海外で初勝利。ドバイミーティングの際には、ドバイターフ(G1)に出走するリアルスティールなどの追い切りも手伝った。
G1レースでの初騎乗は、ソールインパクトに騎乗したオーストラリアのコーフィールドC(G1)。日本の若手騎手が海外でG1初騎乗を果たすのは、極めて異例なことだ。
その後も坂井騎手はアメリカと香港へ渡り、自主研修。今年もサウジアラビア・リヤドダートスプリント(OP)、ドバイゴールデンシャヒーン(G1)でジャスティンに騎乗するなど、ここまで海外経験の豊富な若手騎手もいないのではないだろうか。

若手騎手の海外挑戦には、日本競馬の第一人者である武豊騎手も『JRA競馬学校』のインタビューで以下のように語っている。
「海外で騎乗するチャンスがあるなら、日本で経験を積んでからなんて考えずに、どんどん挑戦した方がいいと思います。若いうちに行けるならなおさらです。長く留守にしていたら日本の騎乗馬がいなくなるかも、みたいな後ろ向きの考え方では何もできないですよ」
サウジアラビア遠征時に現地記者から取材を受けた坂井騎手は、流暢な英語で「憧れの騎手は武豊」と回答。「武豊イズム」は、若手にも受け継がれているのかもしれない。
現在の日本競馬は、17年からリーディングトップを走り続けるフランス人騎手・C.ルメールの「1強」状態。積極的な海外遠征で騎乗技術を磨こうと努力する坂井騎手の姿勢は、他の日本人騎手たちにも好影響を与えるのではないか。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
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