JRA「勝因は騎手」調教師も認めた大胆騎乗、ユーバーレーベン兄の勝利は「マイネルデムーロ」の決定打!? 後ろ盾無くした“元”主戦騎手に忍び寄る脅威
5日、新潟競馬場で行われた新潟記念(G3)は、M.デムーロ騎手が騎乗のマイネルファンロン(牡6、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。単勝12番人気の大穴の勝利で、2着トーセンスーリヤとの馬単は3万4410円。3着クラヴェルを含めた3連単の払戻は26万4560円という波乱の決着となった。
「この勝負服で勝ててとても嬉しいです。スタートでつまずいて後ろからになりましたけど、他馬と離れたことでリズム良く行けました」
レース後にそう振り返ったデムーロ騎手が“この勝負服”と説明したのは、マイネルファンロンを所有するサラブレッドクラブ・ラフィアンの勝負服のことだ。
新潟記念から遡ること約4カ月前。同じくラフィアンの馬で、デムーロ騎手がオークス(G1)を制したのは、まだ記憶に新しい。このとき、最後の直線で伸びを欠いた大本命ソダシを外から豪快に差し切ったのは、マイネルファンロンの妹ユーバーレーベンだった。
3歳春にクラシックを制した妹とは違い、重賞で善戦まではあっても2着が最高と勝ち切れない競馬が続いていた兄。6歳を迎えた夏、待望の重賞タイトルを初めて手に入れた。
そして、この勝利はデムーロ騎手の好騎乗なしには語れないだろう。
7月下旬から始まった新潟開催も今週が最終週。まだ内を通った馬の健闘も目立った先週の開催とは打って変わり、外の馬が伸びるケースが増えていた。
17頭立てで行われた芝2000mのレース。スタートのよくなかったマイネルファンロンをデムーロ騎手は、無理に行かせず後方からの競馬を選択する。積極策からの粘り込みが好走パターンだったマイネルファンロンとしては意外な位置取り。これまでの乗り方と正反対にも思える後方待機策は、一歩間違えれば惨敗しても不思議ではなかったはずだ。
しかし、初コンビながらも最高の結果を出してしまったところが、デムーロ騎手の勝負強さといえるのかもしれない。
新潟外回りの直線は長いとはいえ、4コーナーを過ぎてもマイネルファンロンの位置取りはまだ15番手の後方。末脚が武器のイメージが薄かった同馬にとって、先頭までの道のりはあまりにも長過ぎるように思われた。
ところが、この日のマイネルファンロンは、これまでとは見違える姿を披露する。大外に持ち出され、デムーロ騎手がゴーサイン。外ラチ沿いから目の覚めるような切れ味を発揮すると、瞬く間に前にいた馬を差し切ってしまったのである。
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