
JRA【サウジアラビアRC(G3)展望】C.ルメール来年の日本ダービー“予約済み”怪物コマンドライン登場! ステルナティーアは兄ステルヴィオの雪辱狙う
9日、東京競馬場では2歳重賞のサウジアラビアRC(G3)が行われる。G3に格付けされた16年以降、ダノンプレミアム、グランアレグリア、サリオスの3頭が後にG1を制覇。昨年の覇者ステラヴェローチェもG1戦線で好走を続けている。
今年もこの出世レースには「ディープインパクト最後の大物」と評判の大器が出走を予定している。
その名はコマンドライン(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)。母はコンドコマンドなので、2歳から重賞路線で活躍し、今も現役のアルジャンナの全弟という良血だ。
デビューは6月第1週、今回と同じ東京マイル戦が舞台だった。単勝1.1倍の圧倒的支持を集めると、期待に違わぬレースぶりで3馬身差の快勝。素質の高さを見せつけた。
その時の2着馬コンクパールが3戦目で勝ち上がり、3着馬フェスティヴボスも2戦目で勝ち上がった後、アスター賞(1勝クラス)で3着に好走。レースレベルの高さを裏付けた。
コマンドラインのデビュー戦快勝後には、C.ルメール騎手から来年のクラシックを意識させるコメントも飛び出した。
「これからだと思います。距離が延びて2000mでも問題ないでしょう。跳びの大きな馬で今日はちょっと反応が遅かったですし、まだ呼吸も大きかったです。でも最後はよく伸びてくれましたし、楽勝でした。レース後も全然疲れていませんし、今後へ向けていい勉強ができました」
まだ課題だらけだった初戦から4か月ぶりのレースで、さらに成長した姿を見せてくれるのか。デビュー前にはルメール騎手に「(来年の)ダービーも(騎乗の)予約をしておきます」とまで言わしめた逸材だけに、勝つかどうかではなく、その勝ち方に注目したい。
打倒コマンドラインの筆頭格がステルナティーア(牝2歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)だろう。父ロードカナロア、母ラルケットなので、マイルCS(G1)勝ちのステルヴィオが全兄という良血馬だ。
8月の新潟・芝1600mを舞台に行われたデビュー戦は、2歳新馬戦らしいスローペースで流れるなか、道中は中団に待機。直線で外に持ち出されると、上がり32秒7の豪脚を繰り出し、差し切った。
レース後の福永祐一騎手のコメントからも素質の高さがうかがえる。
「非常にレベルの高い馬です。勝つための準備をしっかりとしてくれていましたし、すごく良いレースをしてくれました。初戦としては満点をあげられる内容だったと思います。気性的に難しい面のある血統のようですが、そんな面を出す事無く走ってくれました。かなり将来性を感じます」
兄のステルヴィオはデビュー2連勝で臨んだ4年前のこのレースで1番人気に支持されたが、ダノンプレミアムの後塵を拝し、2着に敗れた。コマンドラインを破り、4年前の兄の雪辱を果たすようなことがあれば、一気に来春の牝馬クラシック最有力候補に躍り出るだろう。
同じく牝馬のスタニングローズ(牝2歳、栗東・高野友和厩舎)も、その血統が魅力だ。祖母はG1で2着が3度あったローズバド。つまり「バラ一族」の末裔ということになる。
母の半弟には朝日杯FSとジャパンC(ともにG1)を制したローズキングダムがいる。父が同じキングカメハメハなので、スタニングローズの早くからの活躍が期待される。
2戦目の未勝利戦を勝ち上がり、前走は新潟2歳S(G3)に挑戦。スタートで躓き最後方からの競馬を強いられたが、上がり2位の末脚を使って5着まで追い上げた。もし不利がなければ、馬券圏内に入っていた可能性は高かっただろう。
デビューから4戦目で4人目となる鞍上・戸崎圭太騎手の手綱さばきにも注目したい。
この他には、評価急上昇中の新種牡馬ドレフォンを父に持つウナギノボリ(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)、M.デムーロ騎手への乗り替わりでアスター賞5着からの巻き返しを期すガトーフレーズ(牝2歳、美浦・清水英克厩舎)、デビュー戦でコマンドラインと0秒9差の3着だったフェスティヴボス(牡2歳、美浦・根本康広厩舎)などがスタンバイ。
コマンドラインの優位は揺るぎなさそうだが、まだデビュー2戦目の若駒。4か月ぶり始動戦でルメール騎手のイメージ通りの成長曲線を描くことはできるか。このレースの結果如何で2歳の勢力図が見えてくるかもしれない。
注目のサウジアラビアRCは9日15時45分に発走を予定している。
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