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JRA岩田望来「武豊超え」でも勝てない重賞の壁! リーディングトップ10入りでも「平場専用」なのはなぜなのか

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 2000年代生まれ、すなわちデビューして3年以内のジョッキーで、「若手のホープ」といえばどの騎手が思い浮かぶだろうか。

 2年目にして、今年の函館2歳S(G3)で重賞初制覇を成し遂げた泉谷楓真、2月の東京新聞杯(G3)で同じく重賞初勝利を飾った菅原明良。それ以外にも、団野大成や亀田温心など注目度の高い騎手は多いだろう。

 菅原騎手については、新潟競馬場の直線1000mで行われる夏の名物重賞アイビスサマーダッシュ(G3)において、有利な外ラチめがけて人馬が殺到する中、常識破りの内ラチ沿い走行を選択して14番人気3着と激走したことも記憶に新しい。

 役者が揃う2000年代生まれだが、全国リーディングでは前述の菅原騎手が13位(10月10日終了時点)とトップ10の壁は厚いのが現状である。そんなハイレベルな上位争いの中で現状唯一、一ケタ順位の9位に食い込む奮闘を見せているのが岩田望来騎手だ。

 同騎手の特徴は、デビュー3年目ながらとにかく多い騎乗数と勝ち星。例えば直近の日曜阪神では全12レース中10レースで騎乗し、うち6回で3着以内と抜群の成績を残した。

 特に冷静な好騎乗が光ったのが、9日に行われた土曜阪神の2歳未勝利新馬戦である。ビーアイオラクルに騎乗し最内枠からスタート、「いいスタートを切れたので逃げました」と語ったように、スムーズに単騎先頭に立った。

 実はこのとき、同じレースに出走していた父の岩田康誠騎手がスタート直後に落馬。ほどなくして古川奈穂騎手も落馬し、レース中に2頭ものカラ馬がターフに放たれるという異常事態も発生していた。

 距離がやや離れていたこともあり、先頭にいた岩田望騎手は当初、落馬には気づいていなかったと思われる。しかしその後、カラ馬の一頭が身軽になったこともあってか外側から競りかけ、そのまま先頭を奪うという予想外の展開となった。

 だが、そこで慌てなかった判断もさすが。ペースメーカーよろしくカラ馬に先頭を引っ張らせ、岩田望騎手は2番手にいるビーアイオラクルが、興奮しないよう少し離れて2番手を追走させる。結局そのまま後続を突き放し、カラ馬を前に見ながら先頭でゴールというなんとも珍しい決着となった。

 順調に勝ち星を積み上げ、一見死角なしにも見える岩田望騎手だが、その弱点はずばりビッグレースだ。これまで重賞に計73回出走したものの、残念ながら未だに勝ち鞍はない。

 平場戦ではよく発揮される「思い切りの良さ」が、重賞になるとあまり見られないのではないかということだ。

 もちろん馬の脚質等によって戦法が異なるのは当然のことだが、実は上記の73回のうち岩田望騎手が逃げを選択したことは一度もない。

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 象徴的ともいえるのが11日に盛岡競馬場で行われた南部杯(G1)だ。初騎乗となる5番人気インティとコンビを組み、最内枠から好スタートを切った。これ以上ない最高の滑り出しで、かつての同馬の鮮やかな逃げ勝ちを思い起こしたファンも少なくなかったはずだ。

 しかし岩田望騎手は逃げの手は打たず、中団待機から最後の直線で追い上げる後方待機策を選択した結果4着。コーナーでは外々を回るロスがありながら上がり最速とまだまだ力を示しただけに、思い切って逃げていれば…もう少し位置取りが前だったら……と、レースを見ている外野としては、タラレバも脳裏に浮かんだ騎乗だった。

 こちらについては、コンビを組んだインティ自身が直近の2走で後ろからの競馬を試みているため、陣営からの指示だった可能性も少なからずあるのかもしれない。

 その一方で南部杯に限らず、ときには失敗を恐れない「丁か半か」のアグレッシブな騎乗を決断することができれば、近いうちに重賞初勝利も近づく可能性もある。

 全国リーディング9位ということは、レジェンド的な存在でもある武豊騎手の14位をも上回る好成績。岩田望騎手による待望の重賞初勝利は年内に達成できるか、はたまた来年以降にお預けとなるか。

 今後の成長を見守っていきたい注目の若手騎手である。

(文=鹿取文)

<著者プロフィール>

平日は会社員、土日はグリーンチャンネル三昧の日々を送る。幼少期にグラスワンダーが勝った宝塚記念を生観戦、絶叫する親族にドン引きするも二十年経ち気づけば自分も同じ道へ。逃げ馬の粘りこみが好き。

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