
JRA秋華賞(G1)2着「絶好調厩舎」の確変ストップ!? 目前に迫った「調教停止処分明け」も“生え抜き馬”の躍進に期待!

先週は秋華賞(G1)2着のファインルージュを筆頭に、美浦の岩戸孝樹厩舎が絶好調。土・日に出走した管理馬16頭の成績は3勝、2・3着がそれぞれ2回。勝率18.8%で、複勝率は驚異の43.8%を記録した。
この好調ぶりは、近走だけではない。2017年から昨年まで、それぞれ年間16勝を記録した岩戸厩舎だが、今年は既に23勝をマーク。重賞成績も“確変中”で、9月には札幌2歳Sと紫苑S(ともにG3)を、それぞれジオグリフとファインルージュで勝利。同厩舎の平地競走の重賞勝利は2008年、ゲットフルマークスで制した京王杯2歳S(G2)以来、実に約13年ぶりとなった。
岩戸厩舎といえば今夏、同じ美浦所属の木村哲也厩舎の管理馬を受け入れたことを覚えているファンも多いだろう。
木村師の弟子に対する暴行事件に端を発して下された、同師への調教停止処分。JRA公式HPには「木村哲也調教師の調教停止処分に伴い、全管理馬が転厩となります」と記されており、7月28日には67頭もの馬が岩戸厩舎へ転厩することが発表された。
前出のファインルージュやジオグリフらは、木村厩舎からの転厩馬。近いところではサウジアラビアRC(G3)2着のステルナティーアも岩戸厩舎の管理馬だが、デビュー前は木村厩舎に入厩。つまり岩戸厩舎の「躍進」は、木村厩舎からの転厩馬の存在が大きいことは否めない。
ところがこの「躍進」ぶりが近々、ストップする懸念もある。JRA公式HPに記されている通り、木村師の調教停止期間の期限は10月31日まで。処分停止は目前まで迫っており、11月以降、転厩馬たちは岩戸厩舎から木村厩舎の管理馬へと“出戻り”することが予想される。
そうなると、岩戸厩舎の成績はガタ落ちしてしまうのだろうか。しかし、そう考えるのは早計かもしれない。同厩舎が元々管理していたいわゆる“生え抜き馬”も、転厩馬を受け入れた期間を経て、大きな“変わり身”を見せている例があるのだ。
岩戸厩舎が管理する生粋の“生え抜き馬”ゼログラヴィティは、今年3月27日の未勝利戦でデビューするも12着。間隔を空けて挑んだ7月10日の次走も6着と、なかなか勝利を挙げることができなかった。
ところが、転厩馬とそのスタッフを受け入れた後、8月8日に未勝利を脱出。次走の小樽特別(1勝クラス)では昇級戦に挑戦して2着。そして9月の中山4Rでは見事、1勝クラスの壁を突破する“変わり身”を見せた。
転厩馬の調教は木村厩舎のスタッフが引き続き行っているというが、好調な厩舎成績が生え抜きの馬たちにも好影響を与えているのかもしれない。木村師の処分が明ける日が目前に迫っている中で、今後は両厩舎の勝ち星がどのように変化していくのか。管理馬たちの行方はもちろん、両厩舎の動向に注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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