JRA【アルゼンチン共和国杯(G2)展望】オーソリティ連覇なら38年ぶり!C.ルメールは藤田伸二氏以来の快挙へ、強敵は「初コンビ」M.デムーロ×マイネルウィルトス
11月7日(日)の東京メインは、伝統のアルゼンチン共和国杯(G2)。ハンデ戦だが、2011年以降の勝ち馬10頭のうち9頭は3番人気以内と比較的平穏に収まることが多いレースでもある。
今年は絶対的な存在はおらず、混戦ムードが漂う。それでも1番人気はオーソリティ(牡4歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)だろう。
昨年は、青葉賞(G2)以来となる休み明けで臨み、古馬を蹴散らした。中山で開催された1982-83年のミナガワマンナ以来、38年ぶりとなる連覇を狙う。
その後は、暮れの有馬記念(G1)に出走したが14着に大敗。年明け初戦のダイヤモンドS(G3)で巻き返しを図るもクビ差の2着に敗れた。
間隔をあけて臨んだ天皇賞・春(G1)で10着に終わると、その後に左下腿骨の骨折が判明。全治6か月と診断され、年内復帰も危ぶまれていた。しかし、経過は順調で、今月上旬に美浦に帰厩すると、坂路・Wコース併用で乗り込まれてきた。
G2以下では「4-1-1-0」と馬券圏内を外したことがなく、1年前も部位は違うが骨折休養明けで結果を残している。信頼の軸馬候補といえるだろう。
鞍上は昨年と同じC.ルメール騎手が2度目のコンビ。このレースで連覇を果たした騎手も1992-93年の藤田伸二元騎手(92年=ミナミノアカリ、93年=ムッシュシェクル)を最後に出ていない。
人馬ともに“レア”なアルゼンチン共和国杯連覇を果たすことはできるだろうか。
オーソリティの対抗格筆頭はマイネルウィルトス(牡5歳、栗東・宮徹厩舎)か。
衝撃の走りを見せたのは4月の福島民報杯(L)だった。極悪の不良馬場で行われたレースで、各馬が脚を取られる中、マイネルウィルトスは1頭だけスイスイと末脚を伸ばした。2着馬につけたタイム差は「1秒8」。文字通りの大差勝ちだった。
その後は重い馬場への適性を見込まれ、凱旋門賞(G1)挑戦の話も持ち上がったが、続く函館記念(G3)で8着に敗れ、同レースへの出走は見送り。挽回を期した札幌記念(G2)は、11番人気で4着に健闘した。
前走後は一息入れ、秋初戦は一気に500mの距離延長。2000mまでしか距離経験はないが、未知の魅力が漂う。
鞍上には「マイネル軍団」主戦騎手の座を狙うM.デムーロ騎手が指名された。オークス(G1)のユーバーレーベン、新潟記念(G3)のマイネルファンロンに続く、重賞勝利をもたらすことはできるだろうか。
アイアンバローズ(牡4歳、栗東・上村洋行厩舎)も初の2500m戦に臨む。ただし、2400mのレースを中心に使われており、距離延長時の成績も3戦して2着3回と結果を残している。
今春に2勝クラス、3勝クラスを連勝し、一気にオープン入りしたアイアンバローズ。5か月の休養を挟んで、京都大賞典(G2)で昇級初戦を迎えた。混戦模様のなか、やや過剰ともいえる3番人気に支持されたが、1コーナーで不利を受けるなど不完全燃焼の12着に終わった。
馬体重も18kg増で、若干体にも余裕があったか。叩き2戦目の変わり身に期待がかかる。
アドマイヤアルバ(セ6歳、美浦・柄崎孝厩舎)の激走にも注意が必要だ。デビューから3歳春の京都新聞杯(G2)までは9戦すべて馬券圏内の「2-6-1-0」と安定していたものの、9着に敗れた18年の日本ダービー(G1)以降は「0-0-1-20」と大スランプ。
ただ唯一、3着に激走したのが今回と同じ舞台で行われた3走前の目黒記念(G2)だった。単勝オッズ170.7倍のブービー人気で、好位から粘り込み、三連単配当は99万円超。その後は、宝塚記念(G1)12着、オールカマー(G2)8着と凡走しているが、大穴をあけたこのコースで春の記憶がよみがえるか。
この他には、昨年の青葉賞で3番人気のオーソリティを上回る2番人気に支持された逸材のフライライクバード(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)、前走・京都大賞典でマカヒキを上回るメンバー最速の上がりで4着に追い込んだディアマンミノル(牡4歳、栗東・本田優厩舎)、昨年の阪神大賞典(G2)で2着の実績があるトーセンカンビーナ(牡5歳、美浦・加藤征弘厩舎)などが上位をうかがう。
“荒れない”ハンデ重賞、今年のアルゼンチン共和国杯は15時35分に発走を予定。オーソリティとルメール騎手の連覇達成なるかに注目が集まる。
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