JRAマイルCS(G1)の裏でレイパパレ級「大物」が誕生!? アカイトリノムスメ以上の逸材ナミュールは絶対に覚えておきたい1頭
21日、東京競馬場で行われた9R赤松賞(2歳・1勝クラス)は、三浦皇成騎手の4番人気ナミュール(牝2、栗東・高野友和厩舎)が優勝。逃げ馬が2着に残るスローペースながら、後方から次元の違う末脚を繰り出しての勝利は見応え十分だった。
1番人気スターズオンアース、2番人気モカフラワーが二強を形成したレースで、ナミュールは4番人気。この評価から分かるように、戦前の下馬評で特別抜けた存在という訳ではなかった。
しかし、レース後に評価を一変させるだけのとてつもないパフォーマンスを披露したのがこの2歳牝馬だ。デビュー戦は9月中京の芝1600mで2番手から抜け出して勝利。2着に2馬身の差をつけたとはいえ、勝ち時計は1分39秒0と決して目立つものではなかった。
これに対し、2戦目の赤松賞の勝ち時計は1分33秒8という驚愕の好タイム。これは今年の東京芝1600mで開催された2歳戦で最速。開催時期が異なるとはいえ、時計の単純比較なら評判馬コマンドラインが制したサウジアラビアRC(G3)の1分36秒4、サークルオブライフが制したアルテミスS(G3)の1分34秒0を上回るがそれだけではない。
赤松賞は、それまでのダート1400mから1993年に芝1600m条件となり、スティンガー、アパパネ、アカイトリノムスメなどのG1馬を輩出したことでも知られる出世レースだ。
「1頭だけ完全にモノが違いましたね。この日の東京芝は内前の馬が前残りして好走するケースが増えていました。そんな中で中団からやや後ろにつけた三浦騎手の判断は、展開的に苦しいポジション取りでした。
普通ならマイペースの逃げに持ち込んだパーソナルハイが完全に勝ちパターン。1、2番人気馬もまんまと逃げ馬の術中にハマっていたところを、楽な手応えで差し切ったのがナミュールです。こんなのは馬の力が抜けていなければできない芸当ですよ」(競馬記者)
それもそのはず、ゴール前では流す余裕まで見せたナミュールが計時した上がり3ハロンは33秒0という切れ味。これは昨年のアカイトリがマークした1分34秒5と上がり33秒9より断然上である。赤松賞史上最速の勝ち時計と上がりをマークしたナミュールは只者ではないといえそうだ。
レース後、三浦騎手からは「本当に全てに関して優等生」、管理する高野師も「時計が速いですし、決め手があるのが良い」と高評価。このまま順調に駆け上がれば、高野厩舎にとって看板馬レイパパレの後継候補となるかもしれない。
この日の東京は、阪神競馬場でマイルCS(G1)が開催とあって裏開催。前走で手綱を取った川田将雅騎手がダノンザキッドに騎乗するため、三浦騎手は代打的な意味が強かったと考えられるが、出来ることなら継続騎乗をリクエストしたいと思ったに違いない。
3代母に桜花賞馬キョウエイマーチ、母の半妹がブリーダーズC(米G1)ディスタフを制したマルシュロレーヌという血統的な裏付けもある。次走は未定ということだが、もし阪神JF(G1)に出走してくるようなら注目したい1頭だ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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